RORO船の定期就航開始 人出不足解消へ

貨物を積んだトラックやトレーラーの荷台部分を丸ごと輸送できる「RORO(ローロー)船」の定期就航が始まったことを祝い8日、和歌山下津港(和歌山市西浜)で式典が行われた。RORO船の定期就航は県内では初で、和歌山―千葉を約15時間で結ぶ。ドライバー不足への対応や二酸化炭素(CO2)排出削減などにつながる利点があり、物流の効率化が期待される。

定期船を運航するのは大王海運㈱(愛媛県四国中央市)。使用する船は「第五はる丸」と「第六はる丸」で、いずれも全長179・9㍍、1万2404㌧。20㌧の貨物車両(シャーシ)160台と乗用車250台を積載できる。

航路は、三島川之江港(愛媛県)から堺泉北港(大阪府)、和歌山下津港を経て千葉港(千葉県)に至る。和歌山下津港への寄港は毎週土曜日、上りのみ。

RORO船は、運転車両とシャーシを切り離し、シャーシだけを海上輸送する大型貨物船。トラックやトレーラーが船に乗り入れられるため、クレーンなどによる貨物の積み下ろしが不要で、効率的な作業ができる上、トラックなどの陸上輸送で課題となっている長時間、長距離輸送を抑制し、ドライバー不足を解消することにつながり、CO2の排出量も削減できる。

就航式典で、仁坂吉伸知事は「和歌山と大阪の南の人は本当に便利になると思う。今後ますますの発展を祈念する」と歓迎。同社の曽我部雅司社長は「県内のトラック企業と物流企業の皆さまと共存・共栄できるよう努力していきたい」と述べた。

関係者らがテープカットを行い、門出を祝った。その後、希望者が船に乗り込み、貨物デッキなどを見学。就航初日は、花王和歌山工場などの貨物22本が積み込まれ、千葉港へ向け出航した。

定期就航を祝い、テープカットする関係者ら

定期就航を祝い、テープカットする関係者ら