いじめ、不登校とも増加 学校課題調査
和歌山県内の公立学校で2021年度に認知されたいじめは前年度より399件多い5604件だったことが、27日に文部科学省が発表した調査結果で分かった。県教育委員会は、新型コロナウイルスの影響で認知件数が減少した前年度に比べ、部活動や学校行事などが徐々に再開され、児童生徒の接触機会が増えたことや、いじめ問題対応マニュアルを活用した早期の対応が進んだことが増加につながったとみている。
県内のいじめの件数は公立小学校で5197件(前年度比442件増)、公立中学校で323件(同30件減)、公立高校で66件(同10件減)、特別支援学校で18件(同3件減)。児童生徒1000人当たりの認知件数は国立・私立を含めて59・3件(全国平均47・7件)で、前年度より5・1件増えた。
いじめの主な内容は、「冷やかしやからかい、悪口や嫌なことを言われた」が全ての校種で見られ、小学校では「軽くぶつかる、遊ぶふりをしてたたく」、中学校・高校では「パソコンや携帯電話での誹謗(ひぼう)・中傷」、特別支援学校では「仲間はずれ、集団による無視」などの内容もあった。
いじめの解消率は全国7位の87・1%で、全国平均80・1%を上回った。
不登校の児童生徒数は、公立小で587人(前年度比220人増)、公立中で1007人(同158人増)、公立高で492人(同71人増)。主な要因として、いずれの年代でも「無気力、不安」がみられる他、小学校では「親子の関わり方」、中学校・高校では「生活リズムの乱れ、遊び、非行」が挙げられている。
県教委は、いじめアンケートを公立学校では100%実施し、欠席しがちな児童生徒の情報をシートに集約するなど、児童生徒のきめ細かい実態把握に努め、いじめや不登校の早期発見、対応に努めている。
また、スクールカウンセラーを328校に配置し、スクールソーシャルワーカーは、独自配置している和歌山市を除く29市町村、高校17校に配置している。
公立高の中途退学者は260人(前年度比23人減)、国立・私立を含めた中退率は1・3%で、全国31位となっている。
暴力行為の件数は、公立小で105件(前年度比40件増)、公立中で183件(同41件増)、公立高で39件(同11件減)。小学校・中学校では、コロナ禍の影響でストレスを抱える児童生徒が増えたこと、学校活動の再開に伴う接触機会の増加などが件数増の要因とみられる。