表千家と紀州藩 市立博物館で特別展
茶道の表千家と、これを保護した紀州徳川家の関係を紹介する和歌山市立博物館(同市湊本町)の秋季特別展「表千家とわかやま―紀州藩における交流―」が12月4日まで開かれている。
紀州は、千利休のひ孫で表千家4代家元・江岑宗左(こうしんそうさ)が、紀州徳川家初代・頼宣(よりのぶ)に仕えて以降、幕末に至るまで約200年にわたり代々の家元が出仕したゆかりの地。家元は三木町に屋敷を拝領し、藩主の茶の湯指南役などを務めた。
文化や芸術を愛した10代藩主・治宝(はるとみ)は、特に表千家を厚く保護し、9代・了々斎から一子相伝の皆伝を受け、さら10代・吸江斎に返伝授したことで知られる。
今展は、紀州藩別邸などで藩主らが作陶した御庭焼の茶道具、歴代家元が描いた絵画、手製の茶杓(ちゃしゃく)など資料約100点(うち28点は表千家不審菴所蔵)を通じて、紀州藩と表千家の交流をひもとく。
唐津焼「桑原茶碗」は、6代・覚々斎が8代将軍・吉宗から拝領したもの。覚々斎は喜びを句に詠み、富士山の絵画とともにしたためている。
また、江岑の紀州藩への出仕が決まった際、父・宗旦が贈った祝いの手紙や、同藩家老・三浦為時の日記などから、あまり知られてこなかった江岑の足跡、藩士らとの交流を紹介する。
展示を担当した同館の山下奈津子学芸員は「表千家の資料が見られる非常に貴重な機会。和歌山で茶の湯の文化が花開いていたことを知ってもらえれば」と話している。
入館料は一般500円、高校生以下無料。月曜と24日は休館。午前9時~午後5時(最終入館は4時半)。
問い合わせは同館(℡073・423・0003)。