桐蔭高校の8期生 「最後の」同窓会
1956年に和歌山県立桐蔭高校(和歌山市吹上)を卒業した8期生の〝最後の〟同窓会が、同市湊通丁北のホテルアバローム紀の国で開かれ、84~85歳の旧友50人が集い、懐かしい思い出話に花を咲かせた。
全9クラス、約450人の8期生は、卒業から25年がたった1981年に初めて同窓会を開催。以来、3年に1度のペースで集まる中で、歌舞伎を観に行ったり、スケッチをしたりと趣味で集まることも多く、メンバーは「仲が良いことで知られる」とほほ笑み合う。
和歌山大空襲から60年を迎えた2005年には『八歳の戦争体験』という冊子を発刊し、当時8歳だった8期生ら約120人が記憶をつづり、県内の小中高校などに約1000冊を配布している。
その後リタイアをして時間ができたこともあり、2011年からは2年に1度の頻度で同窓会を開催。19年に開いた前回は、約80人の旧友が集まった。
新型コロナウイルス感染症の影響で集まれない状況が続いていたが、今回3年8カ月ぶりにようやく開催にこぎ着けた。旧友らとの再会を心待ちに、北海道や首都圏、四国などの遠方からも参加者が駆け付けたが、前回より参加者は30人余り減少。年齢なども考慮し、今回を一つの区切りとして〝最後の〟同窓会に決めたという。
開会の冒頭、長年にわたり同窓会の会長を務めてきた田村信之さんが「楽しみましょう」とあいさつ。司会を務めた米田容子さんが「先立たれた仲間の御心に対し、われわれが平和で元気に過ごせるよう応援してもらえれば」と話し、全員で黙とうをささげた後、懐かしい母校の校歌を斉唱した。
北海道から帰郷した樽野雅昭さんが乾杯の音頭を取ると、参加者らはマスクを外し、笑顔でグラスを重ねた。樽野さんは「50人も集まれたことに感謝。体は衰えるが、何か楽しみをつくって努力すれば老いるスピードは緩められる」と話した。東京都の中尾知栄さんは3年ぶりに和歌山に帰ってきたといい、「マスクをしていたらよく分からなかったけれど、外したらだんだん思い出してきた」と笑顔。神奈川県の川上淳子さんは8期生の仲間に、「心の中のどこかにいつもいた」と話すなど、参加者らは旧友と共にかけがえのない時間を過ごした。