援農の拠点に 大阪公立大がセミナーハウス

大阪公立大学(旧大阪市立大学)生活科学部の学生らは、和歌山県紀美野町釜滝に空き家を改修した地域拠点としてのセミナーハウス「そらのま」を完成させ、3日セレモニーと見学会を実施した。

「そらのま」の改修は、同学部全学科(食栄養学科・人間福祉学科・居住環境学科)の共通科目である「QOL(クオリティーオブライフ)プロモーター育成による地域活性化」の授業の一環で、学生らが同町への援農活動の拠点として使用するために2018年から整備を進めてきた。

QOLプロモーターとは、生活者のニーズを把握し、分析する能力などを持ち、生活の質を高めることのできる人材。

居住環境学科は建築士を目指す学生も多く、学生らは紙漉(す)き和紙工房「あせりな」の離れで空き家だった築100年以上の木造平屋(一部2階建て)を改修。月に1回集まり、鉄骨を設置しての強度補強や雨漏り修理、キッチン制作、和紙の床張りなどを行った。

建物中央部には構造補強柱を入れ、さらに階段状に結合した構造柱を床と一体化させ、耐震を強化した。床には、あせりなの和紙を9層に重ねてランダムに配置。表面にはコーティングを兼ねた塗装を施し、水をはじくようにした。

セレモニーには学部生や院生、卒業生、関係者ら約30人が参加。和紙で作られたテープリボンをカットし、完成を喜んだ。同研究科の所道彦教授は「完成して終わりではなく、学び続けていく展開にしたい。ここを拠点に学生と地域の人がつながり、活用していきたい」とあいさつ。御坊市出身で4回生の小田裕平さん(21)は「この近くのふれあい公園によく遊びに来ていた。なじみのある場所に大学の施設ができてうれしい。地域のために活用していき、若い人が集まるきっかけの場所になれば」と笑顔で話した。今後は、学生たちが地域と関わりながら活用していくという。

 

和紙で作られたテープでテープカットを行う所教授㊨