ナマコの新種と判明 自然博物館ら調査
和歌山高専生物応用化学科のスティアマルガ・デフィン准教授(45)=海南市・インドネシア出身=と、県立自然博物館(同市船尾)の山名裕介主査学芸員らが、鹿児島県薩摩半島沖の深海で見つかったナマコを共同で調査した結果、新属新種であることが判明した。遺伝子解析などで調査に協力したスティアマルガ准教授は「日本の周辺の海でもまだまだ新種が見つかる可能性があり、調査が必要だ」と話している。
ナマコは2017年8月、水産庁開洋丸のROV(遠隔操作無人探査機)調査で、鹿児島県薩摩半島沖の水深約200㍍から、水産研究・教育機構の林原毅首席調査員が採集。体長は約7㌢で色は黄色。スティアマルガ准教授らに調査を依頼した。
スティアマルガ准教授は県立自然博物館の山名主査学芸員らと共同で調査。ナマコの骨片の特徴や、遺伝子の多様性の分子系統解析によるナマコの分類学的実態を調べたところ、ナマコ網の中の「樹手目キンコ科」で未記載種であることが分かり、19年10月に論文で発表した。
さらに調査を進めたところ、ナマコが新属新種であることが判明。名前については「薩摩半島沖で見つかり、オクヌス属に近く、開洋丸が発見した」ことから「Satsumaocnus kaiyomarui(サツマオクヌス カイヨウマルイ)」と命名し、ことし11月に論文で公開した。
スティアマルガ准教授は「先進国日本の周りであるにも関わらず、新種が見つかっており、まだまだ調査の必要性を感じた。基礎生物の研究は、今後の新たな研究につながっていくためにも重要」と話している。
今回の研究には、東京大学大学院理学系研究科・大学院生で、調査当時、和高専学生だった山本真生さんも参加した。