幸せに包まれる年に 杉尾神社に日本画の絵馬

おなかの神様で知られ「おはらさん」の通称で親しまれる、和歌山県海南市阪井の杉尾神社(西尾酒子宮司)に28日、来年の干支(えと)である卯(う)にちなんだ絵馬が奉納された。

絵馬は和歌山市の日本画家の北野有里子さんと書家の山西未那子さんが制作。縦90㌢、横150㌢の大きさに日本画で描かれた3羽のウサギの家族と、かな文字で表現された小林一茶の俳句が書かれている。

北野さんは、同神社がおなかの神様であることから、子宝と柔らかさを表現したかったといい、わらの上で仲むつまじく寄り添う、毛並みがふわふわしたウサギを描いた。

毛並みの質感は、貝殻から作られる顔料「胡粉(ごふん)」を用いて表現している。背景は水干絵具の「金茶」や金箔を粉末状にして蒔(ま)いた「金箔砂子」、「金泥」を使用した。

山西さんの書は、かな文字で「和賀(わが)はるも 上々吉よ 宇免(うめ)の花」と書かれ、「和が保たれ、敬って許す心が吉をもたらし、運が上昇するように」との思いを込めた。

希少なロバの膠(にかわ)で造られた墨「阿膠青墨(あごうせいぼく)」で書をしたため、繊細で柔らかな仕上がりになっている。山西さんは「かな文字を知ってもらい、日本の文化を大切に思ってもらえたら」、北野さんは「参拝する人が幸せに包まれる一年になれば」と笑顔で話す。

西尾典晃禰宜は「素晴らしさに感激している。毎日、境内を通るので日々の励みになる。皆さんに日本文化の良さを感じてほしい」と喜んだ。また、1月は、絵馬のウサギが御朱印の絵柄として授与される。

 

日本画家の北野さん㊨と書家の山西さん