郷土料理「茶がゆ」 旅館組合が勉強会
和歌山県の郷土料理「茶がゆ」を後世に伝えようと、県旅館ホテル生活衛生同業組合は25日、和歌山市のホテルアバローム紀の国で勉強会を開催。同組合関係者や県、市職員ら12人が和歌山市観光協会茶粥研究会顧問の藤澤祥子さんに茶がゆの歴史や提供の方法などを教わり、理解を深めた。
茶がゆは県内では「おかいさん」と呼ばれ親しまれてきた料理で、番茶やほうじ茶で米を炊いたかゆのこと。地域や季節によって食べ方はさまざまあり、それぞれ独自の文化を築いてきた。
同組合では伝統をつなぐ担い手となり、観光振興にも生かそうと、今回勉強会を企画。この日は、同ホテルで提供されている特製茶がゆ定食の試食もあった。
藤澤さんは元和歌山信愛女子短期大学生活文化学科食物栄養専攻准教授で、農林水産省が企画したウェブサイト「うちの郷土料理」で和歌山県の料理を担当した。同サイトでは次世代に和食文化を継承しようと、全国各地で受け継がれてきた郷土料理を紹介。和歌山県の代表郷土料理として茶がゆが取り上げられている。
藤澤さんによると、現在は茶がゆを作る人や、提供する店が減少しているといい、「茶がゆを食べる機会や場所がない。次世代につなげていくには食べるチャンスをたくさんつくらなければいけない」と話した。
提供のアイデアとして、茶がゆをおかわりできる分量にし、県の特産品の金山寺味噌や梅干し、鮭、干物など、少しずつのおかずと合わせることで、ぜいたく感が得られ、最高のおもてなしになるのではないかと伝えた。茶がゆの作り方も説明し、「おもてなしを工夫して、皆さんの手で茶がゆを伝えていってほしい」と話した。
国民宿舎新和歌ロッジの大瀬圭子さんは、「茶がゆの提供は宿泊客のリクエストのあるときのみ」、「取り入れられることも多いので、早速、実践したい。文化と食文化を組み合わせて発信していければ」と話した。
同組合の利光伸彦理事長は「旅館は和歌山の良さを発信する基地。県を代表する茶がゆを観光振興策としてみんなで盛り上げ、次世代につなげていければ」と話していた。