日本マスターズ連覇狙へ 宮本龍勝さん

昨年10月にマスターズ水泳最高峰の大会「ジャパンマスターズ2022」50㍍背泳ぎで優勝した和歌山市の宮本龍勝さん(83)。大腸がん、心筋梗塞を乗り越え「泳げるなら、いけるところまでやってみよう」と、ことしの大会でも優勝を目指し練習に励んでいる。

宮本さんは小学生の頃に紀の川で開かれていた水練学校に通い、泳ぐ楽しさを知ったという。伏虎中学校、桐蔭高校では水泳部に所属。中学2年生で背泳ぎを始め、県の中学生新記録を出し優勝。桐蔭高校では毎年インターハイや国体に出場。「水泳は自分との闘い。記録が伸びると気持ちが高ぶる面白さに夢中になった」という。

大学卒業後は中学校の教員となり、国体で教員の部に出場。1962年の岡山大会では団体優勝し、県の第1回スポーツ賞に輝いた。71年の和歌山国体を最後に、32歳で水泳に区切りをつけた。

それから47年たった2018年の秋ごろ、高校の水泳部の先輩から「1年後の大会に出場しないか」と誘われ、「できるときにやれることをやっておきたい」と再開。なまっていた体をウオーキングや柔軟、筋トレで鍛え、泳ぎ始めた。

順調に体力がつき始めた2019年7月、大腸がんが判明。幸い転移はなく、悪い部分を切除。入院生活で5㌔ほど体重は落ちたが、4カ月後には和歌山で開かれたねんりんピックに出場。76~79歳の部で背泳ぎ25㍍、50㍍ともに2位という結果を残した。

その後、新型コロナの影響で大会中止が続き、練習もあまりできないまま約2年が過ぎた。昨年1月には心筋梗塞を発症。カテーテル手術を受け、医師の指導のもと4月から大会に出場。「関西マスターズ」「ジャパンマスターズ」の50㍍背泳ぎ80~84歳の部で見事優勝し、リベンジを果たした。2019年に競った選手に「やられました…」と言われ、笑い合ったという。宮本さんは「大会に出ると友達ができて楽しい。友達に会いたくて出場している」とにっこり。

マスターズの大会は、5歳ごとに出場部門が分かれており、その年の12月31日の年齢で、出場する部が決まる。「若い選手は感じないかもしれないが、80歳から84歳の部だと少しでも若い80歳が有利。私はことし84歳で不利」と言うが、1月29日に大阪で開かれる「新春マスターズスイムミート2023」をはじめ、9月まで10大会に出場する予定だという。現在の50㍍背泳ぎのベストタイムは42・07秒。記録が伸びると高ぶる気持ちは昔と変わらない。

食事は野菜を中心に納豆ともずくを毎日食べ、週に2~3回は和歌山市太田のパルポート太田で800~1200㍍泳ぎ、トレーニングに励む日々。「水泳をやっていると負けへんで!と気持ちが前向きになる。来年は85~89歳の部になるので有利。優勝目指して頑張りたい」と笑顔を見せた。

メダルを胸に笑顔の宮本さん

メダルを胸に笑顔の宮本さん