被災地トルコから帰国報告 日赤の古宮医師

トルコ南部のシリアとの国境付近で2月6日に発生した大地震を受け、日本赤十字社の医療調査チームの一員としてトルコで活動した日赤和歌山医療センター感染症内科部長の古宮伸洋さん(48)が帰国し、15日、同センターで現地の様子を報告した。医療システムの回復などに長期的な支援が必要な現状を紹介し、「継続して関わっていきたい思いがある」などと話した。

古宮さんらのチームは、国際赤十字の一員、トルコ赤新月社から日赤への要請に基づき、2月26日~3月7日に首都アンカラや南部の被災地で活動。トルコ赤が行っている被災地の巡回診療に同行し、現状や課題の把握、必要な支援について助言するための調査に従事した。

被災地には小規模な避難所が点在し、国際移住機関(IOM)の7日現在のデータでは、避難所780カ所のうち近隣に医療機関がない場所が18%、薬剤が入手できない場所が26%。既存の医療機関も、施設の損壊、被災による移住などに伴う医療者不足で稼働していない施設がある。医療システムの回復には長期間を要することから、慢性疾患の対応や病気の予防など、一般的な医療を被災者に届けることが重要となっている。

古宮さんは、被害が大きかったトルコ南部の山間地域カフラマンマラシュ、農村部のガジアンテップなどを訪れ、立ち並ぶテントで暮らす被災者の状況などを目にした。

一部地域で不衛生が原因と考えられる下痢、皮膚感染症の疥癬などの問題がみられる他、家族を亡くした被災者が多く、心のケアも重要だという。

巡回医療チームのスタッフ、ボランティアの確保、トレーニングによる質の向上、医療品や資機材の確保などが必要とされ、今後の支援の焦点となる。

一方で、トルコの医療や防災体制は高いレベルにあり、被災者へのテントやコンテナハウスの提供、迅速な食事の炊き出しなど、発災直後の機動力の高さがうかがえたという。

古宮さんは「トルコから学ぶことも多い。一方的な支援ではなく、双方向で助け合う関係をつくることが重要だ」と話していた。

 

カフラマンマラシュ村の現地の子どもと©TRCS/日本赤十字社

 

トルコでの活動を報告する古宮さん