聞く勇気が詐欺防ぐ 銀行員ら3人に感謝状
特殊詐欺被害を未然に防いだとして、和歌山北署は3月31日、イオン銀行イオンモール和歌山店の副店長の吉武豪則(あきのり)さん(51)と、きのくに信用金庫野崎支店の支店長の牧野成吾さん(50)、行員の湯川美智子さん(50)の3人に感謝状を贈った。
同署などによると、イオン銀行イオンモール和歌山店に2月12日午前10時ごろ、70代の女性が「アメリカドル1000ドルを送金したい」と来店。応対した吉武さんが送金理由を尋ねると、女性は「手数料でドルを送金すればお金がもらえる」「送金先はSNSで知り合った外国人で会ったことはない」などと答えたことから詐欺を確信し、県警に通報した。
また、きのくに信用金庫野崎支店では3月8日午後2時15分ごろ、40代の女性が来店し、窓口の湯川さんに「お金を受け取るにはどうしたらいいですか」と質問。湯川さんが掘り下げて質問をしていくと、「携帯で申し込みをしたら800万円をもらえることになった」ことが分かった。湯川さんから報告を受けた牧野さんが女性に詐欺かもしれないと伝え、警察に通報。いずれも特殊詐欺被害を未然に防いだ。
吉武さんは「今後もこまめに声掛けをして水際で阻止していかなければ」と意気込み、牧野さんは詐欺だと伝えるもなかなか信じてもらえなかった今回の経験を通して「警察に連絡することも大切だと思った」と話した。
湯川さんは一昨年にも還付金詐欺の被害を未然防止したとして同署から感謝状を受けており、今回で2回目。窓口での質問に嫌な顔をされることもあるというが、「こういうことがあるとやっぱり聞いていかないといけないなと改めて思った」と話した。
堀内康弘署長は「警察だけではできることが限られているので、金融機関と連携して被害防止に努めていきたい」と協力を呼び掛けた。