弥惣兵衛の見沼代用水 蓮田市の観光協が視察

和歌山県海南市出身の井澤弥惣兵衛(1654―1738)が1728年に埼玉県に築いた見沼代用水が、2028年に完成300周年を迎えることから、300周年イベントを企画する同県蓮田市のはすだ観光協会は12日、学びを深めようと海南市に視察に訪れた。

井澤弥惣兵衛は江戸時代に溝ノ口村(現在の同市野上新)に生まれた。農民から紀州藩士となり、大畑才蔵と共に小田井用水や亀の川の改修、亀池の築造に携わった。この功績が徳川吉宗に認められ、幕府の役人として見沼代用水(埼玉県)の開削などを担当。紀州流土木工法の始祖として、高い評価を受けた。

見沼代用水は、弥惣兵衛が新田開発のため、利根川の水を引き入れ進められたかんがい農業用水。約80㌔㍍の距離を着手から半年で掘り上げた。蓮田市は見沼代用水の上流付近に位置する。

同観光協会の伊澤光允理事事業委員長(75)と、見沼代用水開削300周年事業プロジェクトの三井誠三サブリーダー(78)は、周年イベントをより盛り上げるため、それまでにもさまざまなイベントを計画。参考になればと、弥惣兵衛の生誕の地である海南市を訪問することになった。

2人は同日、市歴史民俗資料館を訪れ、野田泰生館長と井澤弥惣兵衛さんを知ろう会の山添高道事務局長、海南市観光協会の職員らと意見交換や交流を図り、亀の川改修などについて説明を受けた。

その後、井澤弥惣兵衛の子孫である井澤佳代さん宅を訪問。井澤弥惣兵衛の墓参りをし、野上八幡宮参拝、亀池見学などゆかりの地を回った。三井さんは「見沼は平地だが、海南は山に用水路を造っていることに驚いた。すごい苦労があったのだと思う。江戸時代の人から学ぶことが多く勉強になった。偉人の功績を広めるためのイベントを考えたい」と話した。

歴史民俗資料館で弥惣兵衛ゆかりの展示を見学する一行

歴史民俗資料館で弥惣兵衛ゆかりの展示を見学する一行