海南市に災害救助法適用 知事が現場視察
2日から3日にかけての大雨による県内の被害状況の把握が進み、県は5日、住宅1200棟以上が浸水するなど特に被害が大きい海南市への災害救助法の適用を決定した。岸本周平知事は同日、同市や有田川町、和歌山市など5市町の被災現場を視察し、「胸が痛む。被災した方々に寄り添い、お話を聞いて、できる限りのことをスピード感をもってやっていきたい」と復旧を急ぐ考えを話した。
5日午後5時現在の県のまとめによると、人的被害は海南市で新たに軽傷者3人が確認され、合わせて行方不明2人、重軽傷5人。住宅の被害は全県で2083棟に上る。
同市では市内を流れる日方川、加茂川、亀の川、貴志川の4河川が氾濫し、床上393棟、床下851棟の計1244棟が浸水。県全体の住宅被害の約6割を占めている。市のまとめによると、住宅の他、市道・里道79カ所、農道など104カ所をはじめ計278カ所で土砂崩れや損壊などの被害が確認されている。
災害救助法が適用されると、住宅の応急修理や障害物の除去などの費用が国と県の負担になる。
海南市に次いで住宅被害が大きいのは有田市で、床上・床下を合わせて384棟が浸水した。本紙エリアの市町では、紀美野町で全壊2、半壊3、浸水34(床上23、床下11)、紀の川市で浸水16(床上6、床下10)の被害。和歌山市は4日現在で浸水207(床上19、床下188)となっている。
岸本知事は、土砂崩れが発生した有田川町のミカン畑やみなべ町の梅畑、浸水被害が出た海南市、和歌山市などを視察に訪れた。
有田川町東丹生図では、急傾斜地のミカン畑が長さ約120㍍、最大幅約20㍍にわたり崩落。ミカン農家の嶋田光宏さん(40)によると、100本以上のミカンの木がなぎ倒された上、資材の移動や収穫に利用する運搬車のレール、薬剤散布のパイプなどが寸断され農作業ができない状況といい、「ミカン栽培を続けていけるように早く復旧したい。力添えをしてほしい」と訴えた。
報道陣の取材に応じた岸本知事は「できる限りの制度を使って復旧を応援していきたい。9月の補正予算で対応できるものがあれば検討する」と述べた。
海南市では大崎・日方・中野上各地区、和歌山市では名草地区と、浸水被害を受けた地域を訪問。亀の川に架かる羽鳥橋付近(和歌山市内原)では、以前から継続している、河川の流域を広げ、水害を防ぐ工事の進捗(しんちょく)状況も視察した。