クルーズ船のベリッシマ 和歌山初入港歓迎
日本を発着する最大級の大型クルーズ客船「MSCベリッシマ」(全長315㍍、17万1598㌧)が11日、和歌山市の和歌山港に初めて寄港した。雨模様の中、約3000人の乗船客を歓迎しようと、岸壁ではパフォーマンスや物産販売などが盛大に行われ、世界有数の巨大客船をひと目見ようと、多くの市民らも見物に訪れた。
MSCベリッシマはマルタ船籍で、今回は横浜を発着地に九州、沖縄、韓国・済州島などを巡るクルーズで寄港。当初は2日に初寄港の予定だったが、台風2号に伴う悪天候のため見送られ、9日遅れで待望の入港が実現した。
午前9時の入港に合わせ、岸壁では和歌山フラメンコ協会による踊り、和歌山市消防音楽隊による演奏が行われ、乗客を歓迎。船を降りた乗客は、ミカンやマグロ、木工製品などの県特産品の販売、観光案内、ふるさと納税返礼品の見本市などのブースを見て回った他、高野山や白浜などを巡るツアーバス、和歌山城や黒潮市場など市内の観光地を巡回するシャトルバスなどに乗り込み、和歌山での一日を楽しんだ。
午前11時からは船内で歓迎セレモニーが行われ、尾花正啓市長、戸田正人市議会議長、県の福本仁志県土整備部長、ラウロ・マレスカ船長らが出席。プレゼントの贈呈、和歌山城の法被を着ての記念撮影など、和やかな雰囲気で進んだ。
尾花市長は、コロナ禍で途絶えていたクルーズ船の和歌山港入港が3年ぶりに実現したことを喜び、「和歌山市としても大変うれしく思う。皆さまに心からお礼申し上げる」とあいさつ。和歌山城や高野・熊野の世界遺産などを紹介し、「和歌山は日本の原風景の癒やしの地でもある。クルーの皆さんにも和歌山の文化、和歌山の心にふれていただければと思う」と歓迎した。
マレスカ船長は「初めて、この美しい和歌山港に入港することができ、大変うれしい」と述べ、日本向けのMSCの新たなクルーズ計画を紹介。「和歌山港は特別な港として注目もしているし、この大きい船ではなく、小さい船が寄港するのに最適な港だと思っている。何よりも重要なことは、私たち船側と地元との関係が強く結ばれることだ」と今後の関係発展に期待を寄せた。
ベリッシマは午後4時まで滞在し、和歌山児童合唱団の歌声などに見送られ、和歌山を出港した。