歯周病デジタルPCR検査 池内興業が国内初
和歌山県内で初めてウイルスや細菌などの遺伝子検査登録を取得した民間企業として知られる「池内興業合同会社」(和歌山市中之島、池内康二代表)は、国内初となる歯周病菌の「デジタルPCR検査」を開始した。採取したプラーク(歯垢)から観察する歯周病菌の分子の数、コピー数を正確な数値で測定できる「絶対定量」を行うことで、これまでにない歯周病治療の確立が期待される。
現在、40代の日本人の約4割が歯周病の症状があるといわれており、最近の研究では歯周病が誤嚥(ごえん)性肺炎や動脈硬化、心臓病、脳卒中、糖尿病など多くの病気と関連があることが分かってきた。政府は昨年6月の「骨太の方針2022」の中で「国民皆歯科検診」の導入を検討するなど、歯の健康が注目されている。
同社によると、従来の歯科医院での歯周病の進行と治療効果は、歯科医師や歯科衛生士による視覚的な評価が中心で、特に歯周ポケットの深さが主要な指標とされているという。今回の「デジタルPCR検査」が歯科医院で普及すれば、より科学的な根拠に基づいた正確なデータにより、治療効果が上がることが期待されている。
池内代表は「当社の検査が多くの歯科に普及することで、患者さまのより正確なデータが可視化できる。それが歯周病だけでなく体全体の健康にもつながり、医科歯科連携が、より深いものになれば」と話している。
総菌数の測定が可能 比率データも同時に
新型コロナウイルス感染症の検査で普及した「リアルタイムPCR」は、任意のサンプルの値を基準にして観察目的のサンプルの値が何倍多いか、少ないかを判定する「相対定量」を行っているのに対して「デジタルPCR」では観察目的の分子の数、コピーの数を測定することができる絶対定量を行う。
歯周病は、口腔内にいる600種を超える細菌のうち、十数種の細菌による感染症と考えられており、その中でも病原性が高いのが「レッドコンプレックス」と呼ばれる3種。同社が研究・導入したデジタルPCRでは、この3種のコピー数、検体中に含まれる総菌数を測定し、さらに両方のデータから総菌コピー数のうち、何%のレッドコンプレックスが含まれているかの比率データを同時に知ることができる。