和歌山の支援に感謝 ウクライナ大使県庁へ

ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が26日、和歌山県庁に岸本周平知事と濱口太史県議会議長を表敬訪問し、県民の募金をはじめ県内各界からの支援に感謝を伝え、ウクライナに対する引き続きの支持と、ロシアの侵略が終わった後の復興への支援を要請した。

県はウクライナに対する義援金を県民に呼びかけ、これまでに4回、計3190万円を贈呈。県議会はロシアの侵略開始から約1カ月後の昨年3月23日、森礼子議長(当時)が駐日大使館を訪れ、支援金100万円を贈っている。

コルスンスキー大使は「残念ながら戦争はまだ続いており、日本政府の支持が必要であり、それは地方自治体の支持があってこそだ」と述べ、戦争が始まって間もない時期から、県関係者が遠く大使館まで足を運び、ウクライナに対する支援を続けていることを深謝。この戦争は「ウクライナの領土を取り戻すだけでなく、法に基づいた国際秩序を取り戻すための戦いでもある」とし、中国や北朝鮮の名前を挙げ、日本を取り巻く状況とも大きく関係している戦争であると話した。

さらにコルスンスキー大使は、ロシアは侵攻を止めようとせず、停戦は非常に難しいとの現状認識を示した上で、戦争終結後の復興に向けて、日本の戦争や自然災害からの復興を研究し、ウクライナ語で本にまとめたことを紹介。復興での日本、和歌山の支援も求めた。

岸本知事は「武力による現状変更は許されない。和歌山はウクライナに寄り添い、協力関係を続けていく」と話し、復興については中央政府だけでなく、地方政府同士の援助も重要だとし、県として貢献していくことを約束した。

濱口議長は「一日も早く戦争が終わり、復興に進んでもらいたい」と述べた。

岸本知事が柔道の有段者であることにちなみ、コルスンスキー大使は、正体不明の芸術家バンクシーがウクライナの首都キーウ近郊の廃虚に描き、ロシアのプーチン大統領を風刺したものと話題になった、柔道で大人を投げる子どもを描いた作品の切手をプレゼント。岸本知事からは、県産の梅酒が贈られた。

バンクシーの切手を手にコルスンスキー大使㊧と岸本知事

バンクシーの切手を手にコルスンスキー大使㊧と岸本知事