海南駅前が下落率最大 23年県内路線価

相続税や贈与税の課税額を算定する基準となる土地の評価額を示す、2023年分の路線価(1月1日時点)が3日、全国の国税局、税務署で公表された。標準宅地の対前年変動率の平均は、昨年に続き和歌山県が全国ワースト1位のマイナス1・2%(前年同1・3%)で31年連続の下落。県内7税務署の最高路線価は、和歌山と田辺で横ばい、海南、粉河など5署で前年より下落した。

近畿2府4県でみると、変動率が下落だったのは和歌山、奈良(マイナス0・2%)の2県で、和歌山は13年連続で最大の下落幅。滋賀県は横ばいで、京都府(1・3%)、大阪府(1・4%)、兵庫県(0・5%)の2府1県は上昇した。

和歌山県内の最高路線価は、27年連続で和歌山税務所管内の和歌山市友田町5丁目(JR和歌山駅前)となり、1平方㍍当たりの価格は10年連続横ばいの36万円。市の玄関口に位置する商業地であり、安定的な需要があることに加え、駅周辺での大規模分譲マンションや複合ビルの建設などによって繁華性が向上していることもあり、県全体では下落が続く中、横ばいとなったとみられている。

他の6署の最高路線価は、田辺が横ばい、海南、御坊、新宮、粉河、湯浅の5署は下落し、下落率は海南署の2・7%が最大だった。

海南署管内の最高路線価は、昨年に続いてJR海南駅前ロータリー出口に面する「海南市名高(国道370号)」。同駅北側でのホテル整備への期待感はあるものの、郊外や幹線道路沿いの商業施設への顧客の流出が続き、津波浸水への警戒などもあり、需要は慢性的に弱く、最も大きな下落率につながったと考えられる。

粉河署管内の最高路線価「岩出市中迫(国道24号)」は1・3%の下落。周辺の宅地開発、閉店した大型商業施設への新たな商業施設の立地などにより需要は堅調だが、周辺地域への集客の分散などは続き、下落したとみられている。

路線価は国税庁ホームページ(https://www.rosenka.nta.go.jp)に掲載しており、全国の国税局、税務署に設置のパソコンからも閲覧もできる。

県内7税務署の最高路線価と変動率は次の通り。

和歌山=和歌山市友田町5丁目(JR和歌山駅前)、36万円、横ばい▽海南=海南市名高(国道370号)、7万3000円、2・7%減▽粉河=岩出市中迫(国道24号)、7万6000円、1・3%減▽御坊=御坊市湯川町財部(国道42号)、5万2000円、1・9%減▽田辺=田辺市新万(市道中万呂礫坂線)、9万4000円、横ばい▽新宮=新宮市新宮(市道丹鶴町中央通線)、6万3000円、1・6%減▽湯浅=有田川町明王寺(国道42号)、4万8000円、2・0%減

県内7税務署の最高路線価で下落率が最も大きかった「海南市名高(国道370号)」

県内7税務署の最高路線価で下落率が最も大きかった「海南市名高(国道370号)」