スタジオ付き中継車を開発 エフエム和歌山

和歌山市のエフエム和歌山(山口昭昌理事長)は、地域のイベント会場などに出張し、その場から生放送ができるスタジオ付き中継車「COMET STUDIO(コメットスタジオ)」を開発した。衛星インターネットの活用により、災害で携帯電話の通信網が使えない状況でも放送でき、平時のまちの盛り上げに、緊急時の大切な情報発信に、大活躍が期待されている。

87・7MHz、バナナFMの愛称で親しまれるエフエム和歌山は、2008年4月の開局から15周年を記念し、6月にコメットスタジオの運用を開始。通常の中継車は、演奏者やレポーターとスタジオを文字通り中継する役割で、スタジオ機能を備えて移動できる中継車は、放送業界歴50年の山口理事長も聞いたことがない、画期的なものとなっている。

コメットスタジオは、軽のキャンピングカーをベースにしたコンパクトな車両で、鮮やかな黄色が遠くからも目立つ。放送席で最大2人、車外で3人までトークが可能。同局が持つ全ての楽曲の検索・再生の他、リクエストメールの受け付け、ニュースなどの情報取得も現場でできる。

米国スペースX社の衛星通信サービス「スターリンク」の導入も注目。ロシアによる侵略後、通信障害が発生するウクライナのインターネット通信を支えていることでも話題で、災害時なども通信を確保し、放送を続けることができる。

コメットスタジオはすでに、港まつり花火大会、紀三井寺の千日詣などで現場の活気をリアルタイムで発信し、問い合わせも多く寄せられているとのこと。

山口理事長は「電波は生でないと。ローカルに徹して、何丁目何番地に行くのがバナナFMのウリです。ぜひ声をかけてください」と呼びかけている。

 

バナナカラーが映える中継車