最優秀に片山さんら 高野八葉全国俳句大会
「第8回高野八葉全国俳句大会」(同実行委員会主催)が高野山で開かれ、応募句の最優秀(金剛峯寺賞)に奈良県橿原市の鈴木玲子さん、当日句の最優秀に和歌山県由良町の片山綾子さんが選ばれた。
両部門の上位5句は、短冊にして金剛峯寺の新別殿に掲示される(12月末まで)。
同俳句大会は、世界遺産の高野山に俳句愛好者が集う恒例の大会。応募句には967句が寄せられ、当日は93人が参加した。
ことしは弘法大師空海の誕生から1250年の節目でもあり、高野山がにぎわう中、特別選者の佐怒賀正美さん、山田佳乃さんも釈迦文院に前泊。宿泊者36人でミニ句会が開かれ、懇親会では和気あいあいと親睦を深めた。
応募句の部で入賞10句、選者特選30句を選定。当日句の部では入賞に13句、選者特選に14句を選んだ。両部門の金剛峯寺賞には高野山宿坊ペア宿泊券が贈られた。入賞句は次の通り。
〈応募句の部>
【金剛峯寺賞】
高野山大学生れ燕の子
鈴木玲子
【県知事賞】
行間の白の涼しき母の文
森山久代
【釈迦文院賞】
豆飯やほどよき仲の五十年
中浴智美
【高野町観光協会賞】
開けぬまま水に流して落し文
北野惠美子
【高野山宿坊協会賞】
亀鳴くやいつからか子に気遣はれ
山下園子
【高野町商工会賞】
燕来る農百年の深庇
森本潤子
【高野町文化協会賞】
宿坊は玻璃戸一枚明易し
笹岡紀代子
【和歌山俳句作家協会賞】
蛸を干す避難経路の島の路地
竹内輝
【和歌山文化協会賞】
被らずに遺品となりし夏帽子
岡田邦男
【大覚総本舗賞】
渦巻きに海の記憶や蝸牛
西田洋
<当日句の部>
【金剛峯寺賞】
日焼の子千年杉の脈を聴く
片山綾子
【県知事賞】
千年をただ真直ぐに夏木立
山田佳乃
【釈迦文院賞】
てのひらの山蟻風に返しけり
志々見久美
【高野町観光協会賞】
蝉穴を覗きて其の日暮しかな
今野響殿
【高野山宿坊協会賞】
洗ひ髪高野夜風をほしいまま
上野みのり
【高野町商工会賞】
蓮池や僧の砂噛む下駄の音
中村恵美
【高野町文化協会賞】
涼しさや二十万基の墓の黙
古梅かほる
【和歌山俳句作家協会賞】
飯盛るも修行の一つ寺涼し
中村眞由子
【和歌山文化協会賞】
本山を訪ふ白靴を洗ひけり
宮内信子
【大覚総本舗賞】
大塔の九輪押し上ぐ夏の空
北川秀子
【秀逸賞】
山裾の青田に高野の余り風
手拝なをみ
読経せる堂の下なる蟻地獄
三上孝子
夏手套外し大師の善の綱
中島玲子