樫畑さんに外相表彰 友好親善等で貢献
国際関係の分野で活躍し、日本と諸外国との友好親善に特に顕著な貢献をした個人・団体に贈られる2023年度外務大臣表彰に、和歌山県国際交流協会理事長などを務める樫畑直尚さん(66)=㈱南北取締役会長=が選ばれた。各国との交流事業、在留外国人や海外移住者の支援などに長年尽力し、「小さな取り組みを続けてきたことを総合的に評価いただき、喜びは格別です。今後の責任も感じています」と話している。
樫畑さんは企業経営に携わりながら、日本青年会議所(JC)国際室長、同会頭、国際青年会議所副会頭(ヨーロッパ地区担当)など国際協力に関わる要職を歴任。2006年4月に就任し、17年となる県国際交流協会理事長をはじめ、和歌山日仏協会相談役、和歌山日独協会と和歌山日米協会の会長などを務め、各国と日本・和歌山の友好関係の発展に大きく貢献してきた。
さらに、独立行政法人国際協力機構(JICA)が進める海外協力隊員の活動を応援し、帰国した隊員の経験を地域社会で生かす活動などを展開する「わかやまJICAボランティア応援団」を13年4月に設立し、会長に就任。奈良、京都での同様のJICA支援組織の設立にも尽力した。
これらの幅広く、長年にわたる国際交流への貢献が高く評価された。表彰式は8月22日、東京都の外務省飯倉公館で4年ぶりの対面形式で行われ、樫畑さんは林芳正外務大臣から表彰を受けた。
樫畑さんが国際交流に関心を持ち始めたのは中学生時代。旅好きの父親と2人で1カ月にわたり東南アジア諸国を巡るなど、各地を訪れた経験から、「国の壁を比較的意識せず、外国の人々に会えることを学んだ」。
JCの活動ではネパールやバングラデシュなどを訪れ、貧困や衛生などの問題を抱える地域の支援に携わり、一般的な交流事業にとどまらない、子どもたちの未来に関わる国際交流の大切さを感じたという。
長年の活動を通じて実感したことは、言語や文化が異なっていても、人は人であるということ。「世界の人々が力を合わせて何かを成し遂げることは可能」であり、「相手を理解するために努力することは決して無駄ではない」。自分の言いたいことをただ話すだけでは意味がなく、「相手を分かろうとし、研究するから共通点が見つかる。そうしなければ関係は深まらない」との強い思いがあり、より多くの人が外国の文化やさまざまなデータにアクセスすることが大切と話す。
県内でも在留外国人や海外をルーツとする子どもが増え、人権や教育などさまざまな課題に直面しながら暮らす人がおり、県国際交流協会は、外国人が抱える法律や生活に関する悩みの相談、支援も行っている。
ルーツに関係なく健全に生活できる地域社会の国際化に向け、樫畑さんは「困っている外国人がいたら、日本語でもボディーランゲージでもいいので、話しかけてほしい。好意をアクションにすることがすごく大事」と話している。