厳しい残暑影響か 和歌浦のシラスに異変
涼しくなるにつれ、脂が乗ってうまみが凝縮され、よりおいしさを増していくシラス。和歌山市の和歌浦湾で取れるミネラル豊富な「わかしらす」は秋の旬を迎えようとしているが、9月に入っても続く残暑の影響か、海にも変化が起きている。
シラス漁は朝5時半、日の出とともに出港。2隻の漁船が一団となって漁を行う。しらす漁師網元で直売を行う、やぶ新の薮江津子さん(64)は「ことしはシラスの中にたくさん巻き貝やカニが交じっている。35年やってるけど、こんなのは初めて。猛暑の影響かな」とため息を漏らす。
貝やカニの産卵期である夏は交じることがあったそうだが、数の多さと時季が今までとは違うという。
大きさは貝は2㌢、カニは1㌢ほど。県立自然博物館によると、「原因は、はっきりとは分からない」という。
漁を終えた船が帰って来ると、目の前にある加工場まで運ぶ。これまでは真水でさっと洗いすぐゆでていたが、今は貝やカニを取り除く作業をしなければならず、かなり手間がかかるという。
薮さんは「手作業では限界があり、全部取り除くのは難しい」と言い、「貝やカニの子が入っていてチクッとすることがあります」と注意書きをして販売している。「暑さが収まれば、入らなくなるんやけどね。早く涼しくなってほしいね」と薮さん。
シラスは新鮮なまま大きな鍋で一気に釜揚げ。約2分ゆでた後、5分ほど風に当て水分を飛ばすと真っ白でふわふわに。2時間ほど天日干しすると、旨みが凝縮された干しシラスになる。毎日出来たてを販売し、夕方には売り切れてしまうことも多いという。
和歌浦漁港にある「わか家」ではその日取れたばかりの新鮮なシラスを使ったメニューを11日から提供している。
梅干しが乗ったわかシラス丼(700円)、かつお節、ネギ、ノリ、卵が入ったふわ玉シラス丼(800円)。営業は月~金曜の午前11時~午後2時。水曜定休。
土日は、おっとっと広場で梅シラス丼を販売している。