衰え自覚し安全に 高齢者リハビリ&運転講習
高齢者に安全に運転を継続してもらいたいと、和歌山県作業療法士会と県理学療法士協会は共催イベント「あなたの安全運転を守りたい~運転を長く続けるために必要なこと~」を22日、同市湊の和歌山ダイハツ販売㈱大浦店で開いた。70~80代の男女11人が参加し、脳と体のトレーニングやサポカー(安全運転サポート車)、ドライビングシミュレーターなどを体験した。
高齢者による事故や逆走などのトラブルは増えているが、移動手段として車が欠かせない県では、全国的に見ても免許返納率は低い。そこで高齢者の運動機能や認知機能に関する知識や経験を有する両会がイベントを企画。和歌山ダイハツ販売㈱と日本自動車連盟(JAF)が協力した。
イベントの冒頭で県作業療法士会の川雅弘会長は「和歌山は車がないと不便だと言いがちだけど、車に乗れたらあそこに行ける、こんなこともできると希望を持って少しでも長く運転を続けられるように、きょうはいろいろ体験してほしい」とあいさつ。
作業療法士の橋本竜之介さんが「加齢に伴う身体的・認知的変化と自動車運転」をテーマに講義。「運転をやめると認知機能が低下するなどマイナスな点もある。安易に運転をやめるべきではない。衰えを自覚した上で運転をしてほしい」と話した。
続いて県作業療法士会の鍵野将平理事が「衰えは止めることはできないが、ゆっくりにすることはできる」と、運転に必要な能力を維持、増進するための脳と体のトレーニングを紹介。
その後、サポカーに乗って衝突回避ブレーキ機能体験、ドライビングシミュレーターで運転年齢を測定し、運転姿勢と死角の確認、体力測定を行った。
岩出市の小林和男さん(81)は「もう運転をやめなあかんと思ってたけど、やれるかもしれないと自信が出てきた」とにっこり。サポカーに初めて乗り、「ブレーキ踏んでないんやろ、怖いわ~」と驚いていた。
岩出市の山下久美子さん(80)は「運転ができれば、できない人を連れて行ってあげることができる。気を付けてできるだけ長く運転したい」、夫婦で参加していた和歌山市の高橋貞夫さん(83)は「買い物や病院に行くのも車がないと話にならん。できる限り長く運転するためにトレーニングをしたい」と意欲を見せていた。
鍵野理事は「きょう測定した結果を見て、今の自分の体、認知機能に合った運転をしてほしい。スピードは出さない、長時間の運転はしない、夜間や雨の日は避けるなど、運転の仕方を選択すれば事故なく安全に運転できると思う」と話していた。