早期募集など大幅変更 県職員採用試験

多様な人材確保に向け、和歌山県は2024年度から県職員採用試験の制度を大幅に変更する。現行より2カ月早い6月に最終合格を発表する早期募集枠、30~45歳を対象とする社会人採用試験を新たに実施し、専門試験を行わないことで、特別な公務員試験対策が不要になる他、最終合格の決定には筆記試験の成績を合計せず、面接と論文の成績で行うなどの内容となっている。

3日、岸本周平知事が定例記者会見で発表した。

大学卒業程度の試験で、従来型の通常募集枠を前年度の70人程度から50人程度に減らし、一般行政職、土木職、農業工学職を対象に新しい採用枠を設ける。

早期募集枠は22~29歳を対象に20人程度の予定で、1次試験を4月に実施し、6月に合格発表を行う。1次の基礎能力試験は、全国の最寄りの会場を選べるテストセンター方式とする。

社会人採用枠は、昨年度までの就職氷河期世代対象、職務経験者対象UIターン型を統合し、30~45歳を対象に20人程度の予定。1次試験会場は和歌山市、田辺市に加え、東京都が新たに選べる。

これら二つの新規の採用枠では、1次試験に法律や経済学などの専門試験を課さないことで、民間企業と公務員を併願する人や、さまざまな雇用形態の社会人が、より受験しやすくなる。

従来型の専門試験がある通常募集枠を含め、いずれの採用枠でも、筆記試験(基礎能力試験、専門試験)の成績は2次試験に進む人の絞り込みに用い、最終合格の決定には合計しない「リセット方式」とし、合否は面接と論文の成績で決定するとしている。

その他の変更点では、Ⅱ種(短大卒業程度)で土木職、農業土木職を、Ⅲ種(高校卒業程度)で農業職、林業職を新たに募集。県農林大学校の卒業生らに県職員の選択肢が増えることにもなる。

岸本知事は、ペーパーテストのように答えが必ずあるものを解く能力よりも、「問いをつくる能力」が求められているとし、特に基準を定めることなく、「多様性の観点から、いろんなタイプの人を幅広く採用したい」と期待を話した。

県職員採用試験の変更を発表する岸本知事

県職員採用試験の変更を発表する岸本知事