地域の獅子舞を伝承 加太小で練習再開

和歌山市加太の加太小学校(岩本浩志校長)で、コロナ禍で3年間休止となっていた、児童を対象にした地域に伝わる獅子舞とおはやしの練習が再開された。後継者を育てたいと約20年前から始まった取り組み。3年生以上の児童が教わり、11月に開かれる和歌山市小学校音楽会と、来年2月の同校文化祭で披露する予定。

児童たちが習っているのは、毎年5月に行われる加太春日神社の例大祭・渡御祭「えび祭り」で奉納される獅子舞。仲丁地域の青年団が教えている。

練習はことし6月に再開。これまで習っていた児童は卒業してしまったため、ゼロからのスタートとなった。

3年生から6年生33人がおはやしと獅子舞に分かれて指導を受けている。動きの激しい獅子舞は5、6年生で「やりたい」と手を挙げたメンバー6人が担当。2人一組で獅子のリアルな動きを表現する。

加太で生まれ育ち、高校卒業後も継続して祭りに参加し、獅子舞を披露している畑中義樹さん(54)は「動きを大きく激しく見せるのがポイント。曲に合わせリズムに乗って舞ってほしい」と、手取り足取り指導。寝ている獅子がかゆくて暴れ出す様子や、仲間を探して立ち上がるところでは、肩車をして高い獅子になる動きなどを丁寧に伝えた。

5年生の市場小優理さん(11)は「初めてやった時は難しかった。練習を続けるとだんだん分かってきて、もっと上手になりたい」と熱心に動き方を研究。佐地叶多さん(11)は「とても楽しい。お祭りにも出てみたい」とやる気満々の様子だった。

岩本校長(59)は「高学年がリーダーとなってみんなを引っ張り、低学年はお兄さんたちに憧れを持つ。一緒に力を合わせることを知り、他の行事への取り組みが、より積極的になった」と笑顔で見守っていた。

幼稚園の頃から祭りに参加し、同団の団長を務める坂口真規さん(22)は近畿大学の4回生。卒業論文で加太のえび祭りについて研究しているという。「指導を通じて、祭りを守ろうと今一生懸命に頑張っているのは大人だけど、実は子どもが守っているということに気付いた」と話していた。

肩車をして舞の練習をする児童たち

肩車をして舞の練習をする児童たち