感謝と哀悼ささげる 医大で解剖体慰霊祭
医学の進歩のため、自らの意思のもと献体となって研究にささげた故人の冥福を祈る篤志解剖体慰霊祭が17日、和歌山市紀三井寺の県立医科大学(宮下和久学長)で行われた。遺族や学生、大学関係者ら約280人が参列し感謝の念をささげた。
慰霊祭は75回目。同大では年間でおよそ20体の献体解剖が行われている。同大によると、近年献体の提供は減少傾向にあるというが、ことしは48柱の献体があり、1948年以来合計で4917柱となる。
慰霊祭では黙とうの後、学生代表で同大学3回生の牧野遥香さんが「尊いご遺志を真摯に受け止め、この実習で得た知識や経験を生かし精進を重ね、良き医療人になります」と誓いを述べた。
昨年、夫を亡くしてから今回の参列が2度目という同市の75歳の女性は「(夫が献体を)希望していたからね。夫の体はこちらにあるので、ここに来ると会える気がして。案内が届いたらまた来年も来たい」と気丈に語った。