清姫伝説で魅了 森久美子フラメンコ舞踊団
森久美子フラメンコ舞踊団による特別公演「清姫伝説・恋の炎」(本紙など後援)が3日、和歌山市の県民文化会館であった。紀州道成寺に伝わる「安珍清姫伝説」を題材にした舞台。身を焦がすほどの愛に生きた女性・清姫を、森さんを含む3人の舞踊家が演じ、魂を揺さぶるような迫力あるフラメンコで満席の観客を魅了した。
公演は「フラメンコフィエスタ」と題し、森さんが主宰するフラメンコアカデミア「ラ・ダンサアンダルシア」の研究生による発表と合わせ、2部構成で実施された。
同舞踊団では安珍・清姫の物語を2006年に初演し、4度目。今回が最終公演と位置付けて行った。
修行僧の安珍に恋をした清姫が、裏切られた怒りで大蛇に化けて安珍を追い、道成寺の鐘の中に隠れた安珍を焼き殺してしまい、自身も後を追うという悲恋の物語。
安珍役は、かつて志摩スペイン村でステージ構成や振り付け指導を務めるなど活躍するカルロス・ゴメスさんが演じた。一途な愛を貫く清姫役を森さん、石川慶子さん、山西紗也香さんが演じ、愛情の美しさや激しさを、全身を使って表現した。
スクリーンに映し出された熊野の美しい自然風景を背景に、ギターやバイオリン、ピアノの生演奏、唄などに乗せて物語が展開。その激しい愛情から、運命を狂わせていく悲劇の物語が繰り広げられ、森さんが客席に降りて歌ったり、面を着けたままパフォーマンスをしたり。クライマックスでは大きな鐘が天井から登場し、スモークがたかれる大がかりな演出もあり、見どころ満載の公演となった。
会場からの大きなアンコールの拍手に応えて登場した森さんは「きょうご参会くださった皆さまとのご縁は、清姫伝説が残る紀州道成寺の千手観音様のお導きだと深く感謝し、私たちの清姫伝説の舞台を終わらせていただきたいと思います」と感謝を伝えた。
最近、紀の川市に引っ越してきたという京都出身の女性(27)は「フラメンコを見たのは初めて。道成寺の物語は知りませんでしたが、よく理解できました。踊り手の皆さんは姿勢が美しく、迫力があって感動しました」と笑顔だった。