ふるさと納税リピーター増へ 返礼品Gメン
ふるさと納税返礼品の質を高め、和歌山県紀の川市への寄付のリピーターを増やそうと、同市は、返礼品の果物の抜き打ち調査(返礼品Gメン)を試験的に行っている。このほど2回目の調査会が開かれ、市やJA紀の里、同市のふるさと納税運営などに携わる㈱ローカルの職員ら計8人が、ミカン、キウイ、レモン計8品を調査。果実や箱の傷み具合、同梱された案内の内容などを採点した。来年度は本格導入し、事業者に良い点や改善すべき点を共有する予定だ。
市によると、自治体による返礼品の抜き打ち調査は全国初の取り組みだという。
背景には、返礼品に対する苦情の増加がある。市では返礼品の約9割が果物。2022年度の申し込み約12万件のうち人気が高いモモに対する苦情は約100件寄せられた。1年以内に再び同市に寄付した人の割合を示すリピート率は、21年度で約17%、22年度で約20%と市は向上に向けて課題意識を抱き、取り組みを開始。今後は25%への向上を目指し、安定的な財源確保につなげたいという。7月の第1回調査会では返礼品の7割を占めるモモを調査し、梱包(こんぽう)の重要性などを確認した。
今回の調査に用いた返礼品は、市外に住む市やJAの職員らが納税者を装って入手したもの。
調査員は梱包状況、同梱物、サイトに記載している写真などとの相違、味の4項目、計13の観点について評価。優良(5点)、良(3点)、標準(0点)、おおむね可(-2点)、不可(-5点)の5段階で採点した。
試食しながら「保管方法や食べ方の案内があれば」「この金額でこれだけ傷んでたらあかん」「このミカンが一番おいしい」などと意見を出し合った。傷み具合や味、保存方法、連絡先などの案内表記も確認しつつ、計量も行った。
JA紀の里販売部直売課の井谷昂介さん(33)は、「緩衝材などを入れて輸送中の傷みを減らし、問い合わせ先を明記するなどのアフターフォローも大切になる」と気を引き締める。「それぞれの返礼品に良いところはあった。(来年度は)事業者に内容を共有し、全体の底上げにつなげたい」と話した。
市地域創生課の西川洋一郎班長(49)は、「生産者の皆さんは思いを込めて良い物を作っている。安心して寄付してもらえるように質を高め、紀の川市のフルーツを欲しいと思う寄付者を増やしていきたい」と話している。