海外で新たなスタート JICA協力隊員が知事訪問
独立行政法人国際協力機構(JICA)の協力隊員として、海外へ向かう隊員2人が16日、派遣を前に和歌山県庁へ岸本周平知事を訪問し、現地での意気込みを語った。
訪問したのは、和歌山市出身で大阪商業大学4年の尾嵜凛太郎さん(22)と海南市出身の森敏幸さん(57)。
尾嵜さんは、日系社会青年海外協力隊として30日からブラジルのサンパウロで活動。日系団体がつくる野球クラブチームのレベル向上のため、チームの指導や、小中学校で普及活動などを行う。
森さんは、海外協力隊として来月19日からパプアニューギニアの南部の町アロタウで、農業機具の使い方や整備の技術指導をする。それぞれ派遣期間は2年間。
岸本知事は、自身の海外経験にふれ、「自分の人生が豊かになる経験。言葉や習慣が違うだけでお互い『一緒』の人間と気付いたら、人生が変わる。ぜひまた和歌山に戻って、経験を生かしてほしい」と激励した。
尾嵜さんは小中高校で野球を経験し、県立和歌山商業高校では、外野手を務めた。大学で留学を希望するも、コロナ禍でかなわず、就職活動中に協力隊員の活動を知り、応募に至ったという。尾嵜さんは「チームの人数も少ないと聞く。自分が好きな野球の魅力をたくさんの子どもたちに伝えて、野球の楽しさをアピールしていきたい」と話した。
森さんは、子どもたちが成人したことをきっかけに、人生第2のスタートとして海南市の自営店舗を畳み、協力隊の活動に挑んだという。「人生を変えるために廃業もして、今ここにいる。活動が終わった時にもう一度行きたいと思えるような2年間にしたい」と話した。
訪問に同席したJICA関西の木村出所長によると、1965年の発足から今までに、県から約350人が協力隊として派遣され、現在は11人が活動中。当初は青少年育成を目的としてきたが、時代とともに、世界への技術提供という趣旨が加わり、さらに現在は、知見を日本に持ち帰り、社会還元するという新たな目的もあるという。