空飛ぶクルマ実用化へ 県が3社と協定
次世代の移動手段として注目されている「空飛ぶクルマ」の和歌山県内での実用化に向け、県は30日、㈱IHI、㈱長大、南海電気鉄道㈱の3社と連携協定を締結すると発表した。取り組みを通じて来年の大阪・関西万博の機運を醸成し、万博終了後も県内への誘客促進や地域の活性化につながる協力体制の構築を図る。
空飛ぶクルマは、ヘリコプターやドローン、小型飛行機の特徴を併せ持つ機体で、滑走路不要で垂直に離着陸し、騒音が少ないのが特徴。駆動時に温暖化ガスを出さず、整備や運航に要するコストがヘリコプターよりも安価とされる。
県は昨年4月、運航実現に向けたロードマップを公表。万博までを「導入期」とし、離着陸場の選定や運航ルートの整備を進める。万博から2030年までは「成長期」とし、近隣府県との連携などにより、利便性を高める。30年以降を「発展期」とし、観光周遊への活用、新たなビジネス創出などに取り組むとしている。
総合建設コンサルタントの長大(東京都)と県は、昨年2月にすでに連携協定を締結。今回の4者での協定により、取り組みの具体化、連携の拡大を図るとしている。
新たな協定は、空飛ぶクルマの普及啓発、実証飛行に向けた取り組み、空飛ぶクルマを活用した観光振興、地方創生などを内容とする。締結式は2月5日、県庁で行う。
岸本周平知事は30日の定例記者会見で、実証飛行はおそらく年内にできるとの見通しを示し、離着陸場について、慎重に候補地を絞りながら、協定を結ぶ3社とも相談して決めたいと発言。「大変魅力のある事業なので、私自身もワクワクして職員と一緒に取り組んでいる」と期待を示した。