福呼び込み春つかめ 寺社で節分の豆まき

「節分」の3日、各地の寺や神社などで豆まきが行われ、大勢の参拝者が福にあやかろうと、豆に手を伸ばした。新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行されたのを受けて、久しぶりにコロナ禍前と同様の実施となった寺社もあり、「福は内」とにぎやかな声が響いた。

紀三井寺
和歌山市の紀三井寺(前田泰道貫主)では、4年ぶりに「節分福つき大豆まき」が行われ、約300人が集まった。

境内に設けられたやぐらから、前田貫主(65)と県内の福男(年男)6人が「福は内、鬼は外。厄をはらって福を授かりましょう」とのかけ声に合わせて、福豆などをまいた。参拝者は袋を構えたり、両手を挙げたりし「こっち、こっちー」「僕にもちょうだーい」などとアピール。福豆の他、菓子やカップラーメン、手袋、ハンカチなどもまかれた。

人間の煩悩の具現化とされる鬼に豆をまく「鬼やらい追儺式(ついなしき)」も実施。前田貫主と福男が、怒りや欲望を表す赤鬼と愚痴やうぬぼれなどの執着を表す青鬼を退治した。

前田貫主は「4年ぶりにやっとできてうれしい。(世の中と参拝者に)ちょっとでも明るいニュースが増えてほしい」と願った。

初めて豆まきに訪れたという同市冬野の横山裕子さん(78)は「お菓子、手袋、豆をもらった。1年間健康に過ごして来年もまた来たい」と笑顔で話した。

福豆などを授ける前田貫主(紀三井寺)

福豆などを授ける前田貫主(紀三井寺)

 

和歌浦天満宮
和歌山市和歌浦西の和歌浦天満宮(小板政規宮司)では3日、4年ぶりの実施となり、境内には200人を超える参拝客が集まった。

同神社では悪い出来事を鬼、魔とし、「魔(ま)を滅(め)する」ことから旧暦の大みそかであるこの日に行っている。

同市のサックス奏者・岡なづきさんによる奉納演奏が始まる午後7時ごろに雨が降り始めたが、迫力ある演奏で境内は熱気に包まれた。

続いて、岡さんとことしの年男、年女ら7人が袋に入った豆をまくと、参拝客が福をつかもうと競い合うように手を伸ばした。64㌔、800袋の豆がまかれ、カードが入っていると当たりで、奉納された電気製品や、食品、日用品などがプレゼントされた。

友人と2人で来たという同市の女性(49)は「豆の袋10個をゲットした。ことしはたくさん福をもらえるかも」と笑顔。小板宮司は「朝から『豆まきをするのか?』とたくさんの問い合わせがあった。雨だったが、たくさんの人が集まる姿を見ることができうれしい」と話していた。

参拝客に豆をまく年男ら(和歌浦天満宮)

参拝客に豆をまく年男ら(和歌浦天満宮)