地元で働く楽しさ伝える 未来スクール

さまざまな業種の大人たちが学校に出向き、地元で働くことの魅力などを伝える「未来スクール」の授業が2日、和歌山市梅原の貴志中学校(中村清司校長)で開かれた。2年生約170人は、12の企業の経営者らから、仕事のやりがいなどを教わった。

県内に事業所を持つ約80社で構成する実行委員会が主催。就職などで県外に流出する若者が多いことから、地元への関心を高めてもらおうと2014年に始まった取り組みで、民間からの寄付で行われている。

中学生が自分の将来について意欲的に考える機会になればと、経営者や職人らが職業先生として実践型の授業を行う。本年度は市内の6校、890人が参加する。

市内に工務店を構える大彦㈱の授業では、生徒らが角材のかんながけを体験した。真っすぐ水平にかんなを走らせることに大苦戦の生徒らだったが、木の芳香や、かんなをかけた後、角材がつるつるになった手触りに驚きの表情を見せ、記念に木片を自宅に持ち帰る生徒もいた。

市内や大阪などで江戸前回転鮨「弥一」を6店舗展開する㈱ウイルバーン商事の授業では、山口勇人代表取締役社長と職人らが職業先生として、手巻きずしと細巻きを教えた。初めての巻きすに慣れず、切った細巻きの断面がつぶれてしまう生徒に、こつを伝授。視察した岸本周平知事も「巻けてる、巻けてる」と応援した。

生徒からは「人気のネタは何か」「この仕事の向き不向きはあるか」など積極的に質問が出た。山口社長は「向き不向きはなく、職人はみな、何回作業を重ねたかがその人の技術につながる。仲間と将来どんなことをしたいか考えるとモチベーションが上がる」と話した。

授業を体験した小北義翔さん(13)は、「とても分かりやすい授業で、より興味を持つことができた。貴重な体験ができた」と話した。

同スクールの山本理恵実行委員長は「生徒たちの目がキラキラ輝いているのが印象的だった。自分の将来について意欲的に考え、明日からの学ぶ意欲につながることを願っています」と話した。

かんなをかける生徒

かんなをかける生徒