中村哲さんの映画上映 能登半島義援金に
戦火のアフガニスタンとパキスタンで人道支援を続けた医師・中村哲さんの活動を記録したドキュメンタリー映画の上映会を和歌山市で開いた実行委員会が、会場で寄せられた能登半島地震への義援金を県庁の窓口に届けた。
中村さんは、パキスタン北部ペシャワールで医療支援に取り組む中、人々の命を守る水を確保するため、隣国アフガニスタンで1600本以上の井戸を掘り、25㌔以上に及ぶ用水路を建設。何者かの銃撃を受け、2019年に73歳で死去した後も、現地住民をはじめ国内外で深く尊敬され、人道支援の心を広げ続けている。
上映会は、和歌山市出身で映画製作・配給の仕事に携わる西川和樹さん(40)=京都市=が実行委員会を立ち上げ、和歌山ユネスコ協会や国際協力機構(JICA)などさまざまな団体、個人の協力を受けて1月30日に開かれ、約500人が来場した。
会場では、身近で差し迫った支援を必要としている能登半島地震の被災地への義援金を募り、7万6679円が寄せられた。
また、反戦をテーマに描き続けた和歌山市の画家・寺中靖直さん(元和歌山ユネスコ協会会長)の画集の展示も行われた。上映会に賛同した寺中さんの孫・木下和さん=海南市=の協力によるもので、戦火の中で活動を続けた中村さんと響き合う作品に、共感が広がった。
西川さんは「中村さんの人道支援から、助け合うことの共感が得られ、支援の輪が広がる上映会になった」と感謝。木下さんは「命懸けで行動した中村さんの活動を知ることができる素晴らしい映画だった。祖父には『戦争をやめさせる』という強い思いがあった。平和の大切さを伝えていくありがたい機会になった」と話していた。
13日、西川さんと木下さん、和歌山ユネスコ協会事務局長の高垣晴夫さんが県庁福祉保健総務課を訪れ、義援金の目録を末松新一課長に手渡した。