カイロス打ち上げ失敗 発射直後に中断措置

宇宙事業会社㈱スペースワン(東京都)の小型衛星ロケット「カイロス」の初号機は13日午前11時1分12秒、和歌山県串本町の「スペースポート紀伊」から打ち上げられたが、直後に飛行中断措置が行われ、爆発した。9日の打ち上げが直前に延期されてから4日、成功の期待を受けての再挑戦は失敗した。

9日の延期は、海上に設定した警戒区域内に船舶が残留したためで、技術的な問題はないとし、早期の再打ち上げを決定。スペースポート紀伊では13日、天候判断、機器・設備の起動、安全確認、点火の順に準備が進められ、打ち上げに至ったが、歓声は直後に悲鳴に変わった。

射場から西に約2㌔、田原海水浴場(串本町)の応援見学場には、平日にもかかわらず約700人が来場。会場にモニターは設けられず、来場者は発射の瞬間、タイムラグがある配信映像ではなく空を見つめ、カイロスの雄姿を待った。

遠くからゴオーというような音の後、爆発のような音が聞こえ、会場北側の山際から白い煙が上がったが、カイロスは姿を現さず、来場者がざわつく中、打ち上げ失敗がアナウンスされた。

会場に落胆が広がり、配信映像からカイロスが爆発、四散したことが分かると、来場者は茫然とし、涙を浮かべて悲しむ人もいた。

会場周辺には、爆発に伴う火災のために急行するとみられる消防車両のサイレン音も響いた。

午前11時半ごろ、同海水浴場で報道陣の取材に応じた田嶋勝正串本町長は「残念。スペースワンの皆さんにはご苦労さまでしたと言いたい。必ずやこの状況は打開できると思う。ロケットと共に町おこしをしていくと決めているので、町として全面的にスペースワンをバックアップしていきたい」と思いを語った。

大阪府寝屋川市から訪れた会社員、平佐明子さん(52)は「すごくショックで悲しい。失敗したことで悪いところが分かり、良かったんだと思いたい。一歩ずつ進んでいると考えて、時間はかかっても打ち上がる時にはまた見に来たい」、大阪市の女子大学生(22)は「9日もきょうも夜中から来て楽しみにしていたので残念。次こそはうまく飛んでほしいし、火災などにならないよう、安全にも気を付けてほしい」と話していた。

ロケット打ち上げ直後に爆発し、立ち上がる炎と煙(スペースポート紀伊周辺地域協議会提供)

ロケット打ち上げ直後に爆発し、立ち上がる炎と煙(スペースポート紀伊周辺地域協議会提供)