南海トラフ地震に備えを 県警など講演
東日本大震災から13年がたった11日、近畿大学生物理工学部は同大学和歌山キャンパス(紀の川市西三谷)で、能登半島地震で救助活動を行った県警やNPO法人和歌山災害救助犬協会(新宮市)などを講師に招いた講演会を開いた。
参加者に大規模地震に対する防災意識を高めてもらおうと開催。同大学の学生や教職員、県警、自衛隊和歌山地方協力本部、地域住民ら約80人が参加した。
救助犬協会の榎本義清理事長(62)は、1月3~5日に石川県珠洲市と輪島市で救助犬のシェパード2頭と行った、行方不明者の捜索活動について話した。
被災地では「どこの家にどれだけの人が助けを待っているか分からない状態だった」とし、行方不明者がいる可能性のある倒壊家屋などを一つひとつ捜索したことを説明。通常は犬を放して捜索するが、家屋の倒壊具合などからリードをつけて行ったことも話した。
県警の濱田真警部(39)は「令和6年能登半島地震に伴う災害警備派遣から得た教訓」と題して講演。広域緊急援助隊の中隊長などとして約15日間、珠洲市と輪島市で主に倒壊家屋で行った救助活動を基に話した。
被災地では、家屋の倒壊や津波、火災、土砂の崩落などが発生していたといい、石川県と和歌山県は形状や道路の位置関係が似ていることなどから、「(能登半島地震の被害は)南海トラフ(地震)の被害の縮図ではないか」と述べた。
「防災の輪を広げて減災につなげてほしい」とも呼びかけ、食料や飲料、常備薬、消毒薬の備蓄などが必要と説明。車は電源の確保が可能であることなどから災害時に役立つとし、災害時に一般の人も利用できるガソリンスタンドの所在を把握しておくことも必要と話した。
講演の後には、実際に能登半島地震の被災地で活動した救助犬のクーマ号が、捜索活動のデモンストレーションを披露。参加者が隠れた一つのボックスを、三つの中から見事に見つけ出した。
県警機動隊は高所からの救出救助訓練、自衛隊は6階建ての校舎の屋上から壁を駆け下りるロープ降下訓練を披露した。
講演会に参加した、同大学の学生消防団に所属する遺伝子工学科2回生の渕野叶愛(とあ)さん(20)は、救助犬のデモンストレーションに感心したといい、「倒壊している家での捜索活動が印象的だった」と話していた。