県内8JAが合併 全国有数規模の組合へ

和歌山県JAグループの8農業協同組合は4日、県内組合を一つに統合する合併契約調印式を和歌山市のホテルアバローム紀の国で行った。各JAが22日に総代会を開き、合併を承認すれば、来年4月1日に新組合が発足する。「1県1JA」の実現は全国7例目となり、組合員数で全国3位の約19万2000人、販売品取扱高で同4位の約560億円という全国有数のJAとして新出発する。

合併するのは「わかやま」「ながみね」「紀の里」「紀北川上」「ありだ」「紀州」「紀南」「みくまの」の8JA。

県内は全国を上回る速度で人口減少、高齢化が進み、農業生産基盤の脆弱化に歯止めがかからず、さらなる深刻化が予想される中、重複する機能や業務を集約し、合理化、効率化により経営基盤を確立すること、将来にわたり県農業の振興と地域の活性化に貢献していくことなどを目的に、県内8JAの合併に向けた検討を進めてきた。

2015年11月の県JA大会で、合併も含めた県JAグループ組織体制の検討が決議されて以降、18年の同大会決議では、県1JAを検討の前提とすることを決め、22年7月には、検討組織を「県1JA合併協議会」とし、同年8月には合併の目標期日を25年4月に設定。最初の決議から8年半を経て、合併契約調印式を迎えた。

新JA「県農業協同組合」の規模は、8JAの23年度決算の合算で、組合員数19万2248人(全国3位)、職員数2513人(同4位)、貯金残高1兆8334億円(同4位)となるなど、全国有数のJAとして、市場での存在感の発揮も期待される。

合併に伴い、各JAの飼料の購入を取りまとめて行うなどしてきた県農業協同組合連合会(県農)の機能は、1年以内に新JAが継承する。農業相談や各JAを代表する機能を担ってきた県農業協同組合中央会(中央会)、県信用農業協同組合連合会(信連)の機能も継承する方向だが、当面は簡素化して存続させ、3~5年後をめどに改めて検討する。

地域の組合員の声が届きにくくなることがないよう、8JAのエリアには地域本部を設置し、本店につなげる組織体制とする方針。合併後も各JAの既存のブランドは残し、規格の統一や一元販売などは、可能な品目から徐々に進めるとしている。

調印式では、合併協議会と県農業協同組合中央会の会長である次本圭吾氏、岸本周平知事が立会人となり、8JAの各組合長らが契約書に署名した。

式典後、記者会見した次本会長は「合併により経営基盤を強化し、和歌山の農業を支えていきたい。農業が衰退すると地域は疲弊する。地域の活性化にも貢献していきたい」と意気込みを話した。

合併契約の調印を終え、手をつなぐ8JAの組合長ら

合併契約の調印を終え、手をつなぐ8JAの組合長ら