粉河に新たな宿泊施設 カフェやサウナも
和歌山県紀の川市粉河の粉河寺門前にあった元旅館「三笠館」を改築し、カフェやサウナを備えた複合型宿泊施設「MIKASAKAN」が3日、グランドオープンした。市は同所の改築などを委託した㈱エンジョイワークス(神奈川県鎌倉市、福田和則代表取締役)と共同で、今後も近くの商店街「粉河とんまか通り」周辺の活性化を目指す。
三笠館は1915年から割烹旅館として親しまれてきたが、2009年2月に閉館して以降は空き家となっていた。
市はJR粉河駅から粉河寺門前まで続く粉河とんまか通り周辺を活性化しようと、昨年度から同社と共同で三笠館を中心とした、とんまか通り周辺のリノベーション事業に着手。三笠館の改修は2023年7月に始まり、同社が中心となり内装や外装の工事を進めてきた。事業費は約9000万円で国や市の補助金も活用している。施工中には、池田小学校の児童らを招いて棚を作るDIYイベントなども開かれた。
MIKASAKANは4棟あった旅館を2棟に減築して維持管理コストを抑えており、空いた空間にイベントなどを開くことができる200平方㍍のウッドデッキを造った。残る2階建ての2棟のうち、通りに面した棟の1階は市産のフルーツを用いたスイーツを提供するカフェ、もう1棟の1階が貸し切りのサウナとなっている。ともに2階は宿泊施設で計6部屋ある。カフェとウッドデッキの床には紀州材が使われている。
素泊まりで1泊1人当たり9000円からとなっている。カフェの営業時間は午前8時半から午後6時まで。月曜日が定休。サウナは2時間半で1万4000円、同時に8人まで、一日最大で4組が利用できる。
県内初・地域再生推進法人 運営のエンジョイワークス
エンジョイワークスが今後も同施設を運営する。市は3日付で、同社を地域再生推進法人に指定した。これにより同社は市の地域再生事業の担い手として公的な位置付けが与えられ、行政と共に地域再生事業のさらなる推進を図る。市によると、県内で地域再生推進法人の認定は初の事例という。
同所でのオープニングセレモニーには、岸本健市長、福田代表取締役、那賀振興局の阪口公章局長や地域住民ら約70人が出席。岸本市長が福田代表取締役に地域再生推進法人の指定書を交付した。
岸本市長は「MIKASAKANが粉河エリア全体のシンボルとなって多くの方々が訪れる場所となってくれることを願っている」とあいさつ。福田代表取締役は「(地域を盛り上げるために)チャレンジしてみようという方が、とんまか通りにたくさんでてきていただくことがすごく大事と思っている」と呼びかけた。餅まきも行われた他、岸本市長はサウナを体験した。
市企画部地域創生課の西川洋一郎班長(49)は「粉河エリアの人口は減ってきているが、これを機に今後もわくわくできるような事業をさらに展開していきたい」としている。