知事が「あら川の桃」視察 観光でも注目

岸本周平和歌山県知事が3日、収穫のピークを迎えている紀の川市桃山町の名産「あら川の桃」の産地を視察した。選果場、農場、販売所などを巡り、生産者や加工業者から、全国トップレベルの食味を誇る桃について説明を受けた。

生産者側によると、ことしは6月のまとまった雨により種が割れてしまったり、カメムシの被害が多かったりしたため、例年より不作。味の方は糖度が高くおいしいものが多いという。また、近年特定外来生物に指定されているクビアカツヤカミキリによる被害が発生しているとの話も出た。

生産者の一人で、昨年からグリーンツーリズムの一環として道成寺や高野山観光の際に桃の収穫体験を受け入れている舩木孝明さんによると、昨年は約1000人が参加し、ことしはすでに約5000人が訪れているという。「将来的にはバスの駐車場も増やし、受け入れ態勢を整えて観光の面からもPRしていきたい」と笑顔で話し、実際に岸本知事を農場に招待し、主力品種の「白鳳」の収穫を体験してもらった。

また、桃は鮮度が落ちやすいが糖度が高い果物でもあるため、加工品として利用しやすいと加工業者側から報告を受けた。桃の生産や加工などを手掛ける㈱八旗農園は、過熟したものや形の悪いものなど、全体の約5%あるといわれる規格外の桃を生産者から高値で買い、ピューレなどにして全国に販売し、地元に還元しているという。

昨年、㈱セブン-イレブン・ジャパンとコラボしたあら川の桃を使ったスイーツがことしも1日から試験販売されており、8月からは昨年同様に近畿2府4県で発売予定という。

桃が約8割を占める 同市のふるさと納税

紀の川市では、昨年度のふるさと納税の寄付額約19億円のうち、ほぼ8割にあたる15億7000万円が市内で生産される桃だといい、特に「あら川の桃」は全国でも認知が高まってきている。

自ら「あら川の桃」を収穫する岸本知事㊧と桃について話す舩木さん

自ら「あら川の桃」を収穫する岸本知事㊧と桃について話す舩木さん