「実山椒」の下処理手順

前号では、香りに優れ、大粒の果実が特徴の、和歌山特産「ぶどう山椒」を取り上げた。この時期に収穫され販売される実山椒をそのまま食することはできない。今週は、実山椒の調理方法を紹介したい。
実山椒の調理(下処理)には、根気強い工程が待っている。まずは実山椒を小枝から外し、はさみで軸を切り落とすところから。とても細かい作業で、筆者は50㌘程度を処理するために1時間を要した。次に、実だけになった山椒を煮沸する。鍋に水1㍑を入れ沸騰させ、そこに塩を5㌘加える。
そこに水洗いした実山椒を入れ、再び沸騰させてから中火で5分程度ゆで、指で押しつぶせる程度の硬さになるまでゆでる。続いて、ザルに上げ、冷水で流した後、水にさらしてアク抜きを行う。1時間おきに1~2回程度、水を替え、食べてみてえぐみや辛味が強い場合は、さらに水にさらす。えぐみが抜け、好みの辛さになれば、ざるから上げしっかりと水を切る。
この先の調理の用途が決まっていなければ、キッチンペーパーでよく水気を取ってから、冷凍用の保存袋に入れる。平らにしてできるだけ空気を抜き、金属製のトレイに乗せ、急速冷凍するのがお勧め。冷凍で約6カ月の保存が可能。
他にも、塩漬けや醤油漬けにして保存する方法もある。塩漬けの場合は、消毒した保存瓶などに実山椒の約1割の量の粗塩を入れ、塩が溶けるまで毎日瓶を振る。塩が溶けると冷蔵庫で10日程かけて熟成させる。冷蔵庫で約1カ月、冷凍で約6カ月の保存が可能。
下処理に手間はかかるが、保存した実山椒はさまざまな料理で活躍。次週は、フライパンを使って簡単に調理できる、ちりめん山椒の作り方を紹介したい。(次田尚弘/和歌山市)