電動サイクルをシェア 和歌山市でサービス開始

電動サイクルと(左から)鳴海社長、尾花市長、豊田社長、工藤社長
電動サイクルと(左から)鳴海社長、尾花市長、豊田社長、工藤社長

16歳以上なら免許不要で運転できる特定小型原動機付自転車に対応した「電動サイクル」を使用したシェアリングサービスが18日、和歌山県内で初めて和歌山市で始まった。市内企業が共同開発し、自転車のように着座式で乗りやすい車両を使用。市内7カ所に貸出・返却拠点(ステーション)を設置し、市民の日常の移動や観光客の利用など、まちなかの活性化につながることが期待される。

OpenStreet㈱(東京都港区、工藤智彰社長CEO)が提供する国内最大級のシェアサイクルプラットフォーム「HELLO CYCLING」を活用し、ユタカ交通㈱(同市中之島、豊田英三社長)が運営事業者となり、市は公共施設へのステーション設置などで協力。この日、3者は市役所で連携協定を締結した。

使用する電動サイクルは、glafit㈱(同市出島、鳴海禎造社長CEO)とOpenStreetが共同開発。代表的な特定小型原付である電動キックボードと異なり、着座式で重心が低く、安定感がある。時速6㌔まで、20㌔までの二つのモードが選べ、自転車と同様の操作感で初めての乗車でも安心して走行が可能。高齢者も含め、より幅広い年齢層の利用が期待され、鳴海社長は「電動サイクルを特定小型原付のスタンダードにしていきたい」と話す。

「HELLO CYCLING」は、電動アシスト自転車などを全国約8500カ所のステーションのどこでも借りて返却できるサービス。約350万人が利用しているが、電動サイクルの使用は千葉市、さいたま市、堺市に続いて和歌山市が4エリア目。政令指定都市以外では初めてで、地方都市での利用促進の先駆けと期待される。

協定締結後の記者会見で豊田社長は「市が推進するウオーカブルシティ(歩行者を中心としたまちづくり)には、シェアリングサービスは欠かせない。気軽に利用してもらい、利便性について助言や意見を頂き、海外から訪れる人にも利用されるよう事業を展開したい」、工藤社長は「地域の特性を理解し、地域に密着した事業者がいて初めて成り立つ事業。私たちの仕組みを提供でき、今後が楽しみ」と話した。

会見後、和歌山城西の丸広場で試乗会があり、運転を体験した尾花正啓市長は「乗り慣れている自転車の感覚で安定して運転でき、乗り心地も良い。いろんな場所に快適に移動できる。高齢者も十分乗れると思う」と利用を呼びかけた。

サービスは「HELLO CYCLING」のアプリから交通ルールテスト、年齢の認証をして利用する。電動サイクル10台、電動アシスト自転車9台を設置しており、ステーションは、わかちか広場、和歌山城公園、大新公園、本町公園など市内7カ所に設けている。