世耕氏くら替え出馬表明 和歌山2区は保守分裂

衆院和歌山2区への立候補を表明する世耕氏
衆院和歌山2区への立候補を表明する世耕氏

自民党の政治資金パーティーを巡る裏金問題で離党した前党参院幹事長の世耕弘成参院議員(61)は5日、和歌山県田辺市のホテルで記者会見し、27日に投開票が予定されている衆院選の新和歌山2区に無所属で立候補すると表明した。新2区には、裏金問題の責任を取るとして不出馬を表明した二階俊博元党幹事長の三男、伸康氏(46)が自民から出馬予定で、保守分裂の戦いが確定。7日には立憲民主党も候補擁立を発表し、選挙戦の構図が固まった。

世耕氏は、会見に先立って同ホテルで開いた後援会の緊急集会で立候補の意思を伝え、「満場一致で賛同をいただいた」と説明。26年の国会議員活動の中で、内閣官房副長官、経済産業大臣、自民党参院幹事長などの要職を歴任してきた「濃密でレベルの高い政治的経験」を強調し、「もう一度和歌山の発展のために、国のために働くチャンスを頂けるかどうか、和歌山2区の有権者に誠実に真摯(しんし)に謙虚に声を聞かせていただきたい」と述べた。

衆院へのくら替え、2区での出馬を選んだ理由については、来年の参院選または衆院新和歌山1区での出馬なら対抗馬を立てないと自民党幹部が発言したことを報道で知っているとした上で、「その方が私にとっては安全な道かもしれないが、これだけ大きな挫折を味わっている中で、あえて厳しい選挙にチャレンジしていきたい」と語った。

世耕氏の出馬について自民党県連が「自らの党規違反によって離党勧告の処分を受けて離党したのちに、党の正式な手続きで選任された公認候補に対抗して立候補することは重大な党規違反に準ずる行為」などと批判の談話を発表したことに対しては、党幹部の中にも無所属で公認候補と戦い、復党した例が複数あるとし、「自民党は、有権者がその政治家を支持し、考えが党の基本政策に沿っていて、国のため、党勢拡大のために貢献できると判断したら受け入れるのが伝統であり、強さだと思っている」と復党への期待感も見せ、「和歌山2区にとって、政治経験が26年ある私を選んでいただけるのか、新人を選ばれるのかは、有権者の判断を仰ぐしかない」と話した。

今回の衆院選の大きな争点となる「政治と金」の問題については、「深く反省しながら選挙戦を戦っていく。私は当事者であり、派閥の幹部だったので、その上で、政治と金の透明性をしっかり高めていくことも訴えていきたい」とした。

新2区には、世耕氏と二階氏の他、共産党新人で前県議の楠本文郎氏(70)、無所属新人で政治団体代表の本間奈々氏(55)、立憲民主党新人で和歌山市議の新古祐子氏(52)が立候補を予定し、5人による選挙戦となる見通し。