上野、冷水さんに 24年度大桑文化奨励賞
文化・芸術分野で優れた活動に取り組む人に贈られる、公益財団法人大桑教育文化振興財団(大桑弘嗣理事長)の2024年度大桑文化奨励賞に、県出身のピアニスト、上野絵理子さん(37)と、同じく作曲家の冷水乃栄流(ひやみずのえる)さん(27)が決まった。表彰式は19日、和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国で行われる。
上野さんは、京都市立芸術大学音楽学部を経て同大学院修士課程を修了。2011年からフランス・パリに留学し、ジュヌヴィリエ国立音楽院で、知識や技術取得を示す卒業証明のディプロマを一等賞で取得した。15年、パリ・スコラカントルム音楽院高等課程を最優秀の成績で卒業。ポーランド国立クラクフ室内管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団らと共演し、国内やフランスでもリサイタルを行う。
第15回和歌山音楽コンクール第1位、第9回日本演奏家コンクール特別賞、レ・クレドール国際音楽コンクール第3位など受賞歴も多い。現在、和歌山信愛女子短期大学などで非常勤講師を務める。
冷水さんは東京藝術大学音楽学部作曲科を経て、同大学院修士課程を修了。作曲を森川隆之と鈴木純明の両氏に、ピアノを中川知保氏に師事した。現代音楽を中心に幅広いジャンルで活動し、邦楽器を用いた作品も多く、さまざまな個人・団体によって演奏されている。第30回芥川也寸志サントリー作曲賞最終候補・聴衆賞、第89回日本音楽コンクール作曲部門第2位(オーケストラ)など多くの受賞歴がある。21年橋本市文化奨励賞、22年県文化奨励賞受賞。16年から現在まで橋本高校邦楽部で演奏指導を行い、昭和音楽大学などで非常勤講師を務める。
この他、文化活動援助に19×19×19(Nineteen Cubed、ナインティーンキューブ、木村直登代表)を選んだ。同団体は囲碁文化の伝承を目的に、プロ棋士による指導や公開対局を開催。県内高校囲碁部の大会前の強化指導、キッズ教室など多様なイベントを行っている。
無形民俗文化財保持団体への援助には、獅子頭の修繕・獅子舞覆および法被新調事業を手がける、近野獅子舞団(田辺市)と、河瀬区の担ぎだんじりの修理事業をする隅田(すだ)八幡神社秋祭保存会(橋本市)の2団体を選んだ。
学校図書寄贈は、紀伊コスモス支援学校、打田中学校仙渓分校、海南中、耐久中、貴志小、日方小、高城小、すみれこども園、みなべ愛之園こども園、くまのの森こども園の10校園に行う。
同財団は㈱オークワの創業者・大桑勇氏が1993年に設立。毎年、教育に関わる活動やスポーツ選手の競技力向上への援助を続けている。