サッパリ旨い「レモン鍋つゆ」
前号では、地域の特産品を組み合わせ、冬の食卓を彩る「柑橘(かんきつ)鍋つゆ」を取り上げた。さまざまな鍋つゆが親しまれるなか、元祖の柑橘鍋ともいえる存在が「レモン鍋」である。かつて、筆者が住んでいた広島県では、冬の風物詩として飲食店で提供されるほど。昨今は複数のメーカーからレモンを使った鍋つゆが売り出されるなど、ファンが増えている模様。今週は「レモン鍋つゆ」を紹介したい。
筆者が購入した鍋つゆは、塩気を感じる鶏ガラスープをベースにしたもの。つゆの色は少し白みを帯びた透明で、爽やかなレモンの香りが漂う。チキンがベースであるため、鍋には鶏肉を入れることにした。
一般的な鍋の具材である白菜やエノキ、シイタケなどを入れ温める。食してみると白菜との相性が良く風味が際立つ。鶏肉もあっさりと食することができ、素材の味を引き立て、箸が進む。一方でシイタケは互いの香りが邪魔をするのか、筆者にとってはあまり魅力的な味わいではなかった。
鍋のトッピングにオススメしたいのが中華麺。レモンの鍋つゆは、豆乳鍋のように、つゆを多く飲むことはないため、つけ麺のような食べ方になるが、レモンの風味と小麦を使った麺の食感が合う。つゆの楽しみ方としては、チーズを入れリゾット風にして食する方法がある。
2021年の農水省統計によると、レモンの収穫量第1位の都道府県が広島県(約4400㌧)、第2位が愛媛県(約1700㌧)、第3位が和歌山県(約800㌧)と、和歌山県は全国シェアの約1割を占める。
瀬戸内レモンの名で、広島県や愛媛県が産地として知られるが、実は和歌山県もレモンの産地。柑橘の一大産地として、レモンを使ったご当地ならではの商品が生まれることを期待したい。(次田尚弘/神戸市)