挫折しても諦めないで 古田敦也さんが講演
プロ野球東京ヤクルトスワローズの元選手で監督も務めた野球解説者の古田敦也さんの講演会が11月30日、和歌山県紀の川市貴志川町の貴志川生涯学習センターかがやきホールで開かれた。古田さんは野球少年ら約500人を前に自身の野球人生を振り返り、挫折しても諦めず挑戦し続ける大切さを語った。
主催は那賀ライオンズクラブ。青少年が将来に向けた希望と意欲を育む機会になってほしいと企画。岩出市、紀の川市の小中高の野球チームの選手や保護者、少年野球指導者などが参加した。
古田さんは兵庫県出身。1989年に25歳でプロ入り。捕手としてヤクルトで現役18年間にリーグ優勝5回、日本シリーズ優勝4回に導くなど、攻守にわたりチームの中心選手として活躍した。
講演では野球を始めたきっかけについて、小学校1年生の時に柔道と相撲をしていた父から「野球はうまくいったら金になる。どうせやるなら金になることをやれ」と勧められ、小学校3年生からチームに所属したことを紹介。高校まで野球を続けていたがプロを目指す気は全くなかったという。
立命館大学に進学してから、だんだん野球がうまいと言われるようになり、日米大学野球選手権大会の日本代表に選ばれるなど注目を浴び、プロを目指すようになった。4年生で「ドラフト1位間違いなし」と、テレビや新聞などの取材を受け、期待したが、どこからも指名されなかった。「プロに行くつもりだったから就職先もなく、俺の人生どうなるんや」とうなだれ絶望したという。
「意地でもプロになって見返そう」と決め、トヨタ自動車に入社。悔しさをばねに社会人野球チームで懸命に練習。そして2年後、ヤクルトからドラフト2位で指名がかかった。
古田さんは「このためだけに2年間努力したからすごくうれしかった。目標を立てて一生懸命にやれば夢はかなうことを知った」と振り返り「無理だなと思っても、真剣に頑張ればかなうことはいっぱいある。みんなも諦めないでほしい」と伝えた。
ヤクルトの故・野村克也監督から、周りの意見や自分と異なる意見にも素直に耳を傾けるという意味の耳順(じじゅん)という言葉を教えられたことや「弱くても頭を使えば勝てる。それが野球の良いところ」と聞いたことなどのエピソードをユーモアを交え、楽しく話した。
質問コーナーもあり、野球のテクニックや心得など、子どもたちからの質問に答えた。
夢はプロ野球選手という、岩出ヤンキースに所属している田中佑空(たすく)さん(12)は「古田さんの幼い頃の話が聞け、野球のいろんなことを教えてもらえて楽しかった」、岩出ボーイズ所属の松本大地(りく)さん(15)は「将来が楽しみになった」と笑顔。
粉河高校野球部キャプテンの神原朋冶さん(17)は「チームの練習方針や意識の持ち方などすごく参考になった」と話していた。