智弁の2人が最終審査へ 高校生ビジネスプランGP
全国の高校生がビジネスプランを競うコンテストで、智弁和歌山高校1年の青木大和さん(16)と青木梨衣奈さん(16)が考えた「らくSASコルセット 睡眠時無呼吸症候群で苦しむ人をゼロに」が応募総数5151件の中からファイナリスト10組に選ばれた。オンラインで結果が発表されると、2人は「こんな大きいコンテストでまさか選ばれると思っていなかったのでうれしい」と笑顔を見せた。
同コンテストは「高校生ビジネスプラン・グランプリ」と題し、日本政策金融公庫が主催。次世代を担う若者に起業への関心を高めてもらおうと2013年度から開催し、今回が12回目。県内からファイナリストが選ばれたのは初めて。
10組は来年1月12日に東京で行われる最終審査会でプレゼンテーションの結果、頂点が決まる。
スキマバイトアプリ「タイミー」の小川嶺社長(27)が学生時代に参加し、ビジネスをつくり出す面白さに目覚めるきっかけをつくったコンテストとして注目されている。
2人が考えたプランは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者向けに、いびき軽減効果があるコルセットを製造・販売し、睡眠不足解消を図るもの。
2人は同じクラスで「父親のいびきがうるさい」という共通の悩みがあり、意気投合。探究学習の授業で8月末からチームを組み、いびき改善について研究を進めていた。そこで睡眠時無呼吸症候群のことを知り、調査を進めると罹患(りかん)しているにもかかわらず、治療を受けていない人が多いことから「苦しむ人を助けたい」と、解決できる方法を模索するようになり、今回の応募に至った。
医師や患者に話を聞く中で、SASの患者は仰向けに寝ると気道が塞がり、無呼吸のリスクが高まることを知った。2人は、SASや睡眠時のいびきを軽減する体位療法という治療法に着目。体を固定せず、快適な睡眠の中で横向きからスムーズに寝返りができるよう、腰に装着するベルトを考案した。
中央部を繰り抜いた三角柱のゴムの腰当てをコルセットに装着し、仰向けになろうとすると三角柱のとがった部分で体を支えるという不安定な状態になる。そのため、横向きへのスムーズな寝返りができるという、腰痛を悪化させることなくSASを改善するコルセットを完成させた。
商品化に向けて、企業に協力を依頼。何度もミーティングを重ね、完成したものを患者に試し実証実験したところ、その有効性が確認されている。2人はそれぞれの父親に試してもらい「商品化されたら使いたい」と言われたという。
今後について、青木梨衣奈さんは「たくさんの人が安心して眠れるよう、改良を重ねていきたい」、青木大和さんは「これだけでなく、いろいろな形にも挑戦し実証実験をしていきたい」と話し、1月のプレゼン大会に向けて「自信はある」と笑顔だった。