息の合う仲間で日本一を 躍進の北高ボート部
昨年、高校総体で創部以来初となるローイング競技女子ダブルスカルで全国2位となった和歌山県立和歌山北高校ボート部。3年生が引退し、新生チームで挑んだ11月の全国高校選抜ローイング大会近畿地区予選会では1位となった。「ボートの甲子園」と呼ばれる全国大会を3月に控え、14人の部員たちは日々厳しいトレーニングに汗を流している。
その中には、高校総体で2位となった3年生の谷口悠夏さん(18)の姿も。谷口さんは今後の競技生活に生かしたいとクラブを引退せず、大学合格が決まった今も後輩たちと一緒に毎日練習に参加している。
谷口さんがボートを始めたのは、高校に入ってから。中学では体調が優れずあまり登校ができなかった谷口さんは、不安いっぱいの中、高校に入学。「どうすれば友達がつくれますか?」と担任でボート部顧問の田中大誠教諭に相談。「ボート部に入ったら友達ができる」とアドバイスを受けた。
田中教諭は同校ボート部出身。大学、社会人でも選手を続け、2013年から顧問。「ボートはチームワークが求められる究極のスポーツ。チームで息をそろえて限界の中戦うので、勝つためには強さだけでなく人間性も重要」と、人としても成長できる温かみのあるクラブを目指している。
ボート部に入った谷口さんは、すぐに仲間と打ち解けることができ「新しいことにチャレンジできるのがうれしい」と競技に熱中。「メダルを取ること」を目標に練習に励むと、大会で結果を残せるようになり、クラブと競技が大好きになった。
最後の高校総体で全国2位となり、3年間の選手生活を締めくくった。高校ではかなわなかった日本一を味わいたいと、大学でもボート競技を続けることを決意。「夢はインカレで優勝すること」とさらなる高みを目指し、3月まで部員たちと共に練習に励む。
後輩たちにとっても、谷口さんの存在は大きな心の支えになっている。部長の田中誠志郎さん(18)はクラブの魅力について「男女仲が良く、悪い人がいない。気を使わずお互いの悪いところを言い合える」と話し、クラブのモットーは「人の嫌がることをしない」ことという。
田中教諭は「いかにクラブを好きになれるか、それが原動力になり強くなる。トレーニングは厳しいが、楽しいクラブで日本一を取りたい」と話している。