大胆な制度改革を提言 竹中平蔵さん故郷で講演

女性の地位向上や青少年支援などに取り組む奉仕団体「国際ソロプチミスト(SI)和歌山」(須佐眞理子会長)は5日、和歌山市七番丁のダイワロイネットホテル和歌山で、同市出身の経済学者、慶応義塾大学名誉教授の竹中平蔵さんの講演会とチャリティーバザーを開いた。
竹中さんは県立桐蔭高校、一橋大学経済学部を卒業。慶応義塾大学教授などを務め、小泉純一郎内閣で経済財政政策、郵政民営化の担当大臣、総務大臣などを歴任した。
講演で竹中さんは、生成AIの急速な発展などの技術転換、トランプ大統領の再登板で社会の分断が深まっているアメリカ、経済状況が厳しさを増している中国の状況などにふれ、世界が大きな体制移行に直面していると指摘。日本や韓国、台湾に対し、中国に対抗する半導体のサプライチェーン構築を求める動きがあるなど、「日本にはささやかな追い風が吹いている」とも述べ、チャンスを生かすには大胆な制度の見直し、改革が必要との考えを話した。
自民党の政治資金パーティー収入の不記載事件を機に議論が続く政治資金の在り方についても、日本に「政党法」がないことがより根本的な課題だと提起。企業の場合、会社の設立、組織、運営の在り方を会社法で定めているが、政党については、国費から政党交付金を支出しておきながら、ガバナンス(管理体制)を規定する政党法がないことを問題視し、議論を呼びかけた。
聴衆との質疑では子や孫の世代に伝えたいことを問われ、「人生は意外と短い。自由に生きて、夢を大いに追いかけてほしい」と語った。
チャリティーバザーは32回目の開催。30以上の協賛店から衣料品やインテリア、食品、雑貨などが求めやすい価格で販売された他、会員が持ち寄った日用品や寝具、食器をはじめ多彩な品々、リユース品なども並び、会場は来場者で大盛況となった。
SI和歌山は本年度のクラブテーマを「笑顔あふれる明日(あした)に夢と希望をのせて!―ひとりひとりに優しい社会を―」と掲げており、今回の講演会、バザーの収益は、子どもたちの夢の実現を支援する事業に活用する。