「白良浜」と「ワイキキ」の歴史

前号では、白浜町と友好都市提携を結び、白砂が特徴である「ワイキキビーチ」の歴史と両市の関係を取り上げた。ワイキキビーチと白良浜はなぜ白砂なのか。両者の歴史を深堀したい。
かつてワイキキビーチが湿地帯であったことは前述のとおり。火山に近いことから、溶岩に由来する玄武岩の黒い砂利が広がり、衛生的にも優れない環境であったという。ハワイはサトウキビ栽培などの第1次産業が盛んであったが、ハワイ州となってからは主産業を観光に変えようとする方針が掲げられ、投資家による大規模な開発が進んだ。港湾設備や運河が造られ、島内外から運ばれた白砂でビーチを形成。それに沿うようにしてホテルが建ち並び、現在の美しいリゾート地が出来上がった。港湾が整備されたことで大型客船の就航がかなったことも発展の要因として大きい。
一方、白良浜は古くから海水浴場として知られ、大正の頃までは白砂が採取されガラス原料として使われていたほど。白砂の約9割は鉱物である「石英」であり、これを多く含む砂を加熱し溶かすことでガラスの原料になる。
かつては遠浅で、砂を踏むとキュッキュと音が鳴る「鳴き砂」が楽しめる砂浜であったが、高度成長期から周辺地域の開発が進んだことなどが原因で、白砂が流れるようになり減少。平成元年からはオーストラリアから砂を補充し、かつての姿を復元している。
歴史をたどると白砂が特徴の美しいビーチという観点からは、原点が天然か人工かという違いから、白良浜の方が歴史が深いといえよう。とはいえ、両者は白砂を共通とする友好関係。ワイキキビーチが世界のリゾート地として親しまれる背景にふれていきたい。(次田尚弘/ホノルル)