終盤の和歌山県知事選 2候補が懸命に訴え
和歌山県知事選挙は6月1日の投票日に向けて最終盤を迎えている。届け出順に、共産新人で元和歌山市議の松坂美知子候補(68)、無所属新人で元副知事の宮﨑泉候補(66)=自民、公明、立憲民主、国民民主、社民県連推薦=の2人の戦いは、5党が相乗りし、より幅広い層から支援を受けている宮﨑候補が優勢とみられる。


岸本周平前知事の死去により急な知事選となり、各党の候補者選定や対応の決定は時間との戦いでもあった。自民県連が4月26日に宮﨑氏の推薦を党本部に申請することを決めると、一時は別候補の擁立を検討していた県町村会も歩調を合わせ、立憲民主、国民民主、社民県連、公明も相次いで推薦を決定。一方で共産は自民主導の候補者選びに対抗し、5月8日、2022年の前回に続く松坂氏の擁立を発表した。
松坂候補は、学校給食の無償化、パートナーシップ宣誓制度の導入など岸本県政の成果の一部を評価し、制度化や発展を目指す姿勢を示す一方、物価高などで苦しい県民生活への支援が不足しているとし、賃上げした企業への一時金支給、奨学金返済の支援などを掲げてきた。特に強調してきた争点の一つは、南紀白浜空港の特定利用空港指定の撤回。軍事利用の危険があるとして、「戦争ができる国づくり」への反対を訴えてきた。
「くらしをたすける県政」の訴えに具体的な共感が寄せられていると陣営は手応えを示しており、共産支持層以外への浸透がどれだけ進むかが得票増の鍵となりそうだ。
宮﨑候補は、岸本県政の継承を前面に打ち出し、岸本前知事が繰り返し口にしていた「県民の笑顔を増やす」を強く意識した「笑顔をつなぐ」をキャッチフレーズとする。有権者への訴えでは、個別の政策よりも、「こどもまんなか社会」の実現、誰もが個性を生かして活躍できる社会を目指すことなどの方向性を語り、「小さなことから積み上げていきたい」「しっかり足元を固めて取り組んでいきたい」などの姿勢を強調してきた。
推薦を受ける各党や組織を背景に、初めての選挙ながら、地方議員や首長らが応援のマイクを握るなど手厚い支援による戦いを展開。手堅く各党の支持層を固めている。
最終盤は両候補とも、最大の人口を有する和歌山市が戦いの中心となる。まだ投票先を決めていない有権者らの動向も注目される。