和歌山大空襲を描く 演劇集団和歌山が公演

稽古に励む子どもら
稽古に励む子どもら

和歌山市を拠点に活動するアマチュア劇団「演劇集団和歌山」は、和歌山大空襲をテーマにした舞台「ささの葉さらさら」を7月6日、和歌山市和歌浦南の和歌の浦アート・キューブで上演する。

1945年7月9日の和歌山大空襲から80年となる節目の年に今一度、戦争の不条理と平和の尊さを問いかけようと、同劇団が2000年に上演した舞台の再演を企画した。

同作は空襲の歴史と平和への願いを伝えるために制作。多くの市民が犠牲になった西汀丁で25年前の7月9日に初演し、大きな反響を呼んだ。

今回はこの悲劇を強く記憶にとどめようと、出演者を一般公募。同市内の大人13人、子ども7人と劇団員7人が共に演じる。

物語は大空襲直前、市内に住む市役所職員、消防団員、日赤病院の傷痍軍人など、人々の暮らしを七つのシーンで描いている。

現在、動きやせりふの練習が進められている稽古場では、大人も子どもも一生懸命に役柄に向き合っている。

国民学校での授業シーンでは、「日本人は世界で一番優れた民族。だから戦っている」と教師が子どもたちに説明し、「敵を殺したらかわいそう」という児童を教室のみんなが「非国民」と厳しく責める。

西和佐小学校3年の岡本想太郎さん(8)は「台本を読んで悲しくて怖くなった」、和佐小学校6年の澤村俐心(りん)さん(11)は「今では絶対言わないような『敵をたたき殺す』などの厳しいせりふがある。戦争のことを勉強して理解し、思いを込めて演じたい」と稽古に励む。

楠本幸男代表(70)は「25年前の初演では戦争を体験した人がたくさん見に来ていた」と振り返り、「日本では時間的にも距離的にも遠くなった戦争だが、世界では今なお戦禍に苦しむ人が多くいる。和歌山大空襲で奪われた命や生き延びた人々の願いに思いをはせ、平和について考えてもらう機会にしたい」と話す。

上演は午後1時と5時の2回。

チケットは前売り一般2000円(当日2300円)、小・中・高校生1000円(当日1300円)。

チケットの取り扱いは和歌山演劇鑑賞会(℡073・433・1151)、県民文化会館(℡073・436・1331)、和歌山城ホール(℡073・432・1212)、和歌の浦アート・キューブ(℡073・445・1188)。

こちらからも申し込みができる。

問い合わせは演劇集団和歌山(℡073・488・9100)。