路線バスの「パーク&ライド」

前号より、市民の暮らしと環境客の旅を支える、ホノルル市の公共交通「The Bus」を取り上げている。今週は「パーク&ライド」のサービスを紹介したい。
パーク&ライドとは、自宅から最寄り駅やバス停の近くにある駐車場に車を止め(パーク)、公共交通に乗り換える(ライド)ことにより、目的地に向かうという仕組み。パーク&ライドにより、都市部に車を乗り入れることによる交通渋滞の緩和や環境対策に効果がある他、公共交通の利用促進により、市民の移動手段を維持していくという目的もある。
The Busでは市内5カ所に駐車場を併設した発着所を設けている。筆者が訪れたオアフ島北部のノースショアにあるハレイワタウン内には、20台程度の車を駐車できるスペースがあり、道路上に施設の存在を示すポールが立てられている。この地域は住宅と観光名所が共存する自然豊かな地域。住民は都市部への移動、観光客はタウン内でのショッピングや観光名所への近距離のバス移動のために利用されているようだ。
パーク&ライドは日本でも取り入れられている。地方の鉄道駅の周辺に用意された駐車場に車を止め、鉄道を利用する「パーク&レールライド」が一般的であるが、昨今は都市部の公共駐車場に車を止め、路線バスで商業地を周遊する「パーク&バスライド」も浸透しつつある。大阪・関西万博では、障害者用駐車場を除き、会場内にマイカーの乗り入れができないことから、近郊に設けられた駐車場に車を止め、会場まで送迎バスで移動する仕組みが取り入れられ、既に利用された方がいるかもしれない。
利用者の利便性向上と公共交通の利用促進を図り、環境にも優しい仕組み。日本国内での拡大と浸透を期待したい。(次田尚弘/ホノルル)